オリジナル小説を綴っています。 拙いものですが、少しでもお話を楽しめる憩いの場になればと。

シェアハウス物語 あとがき 

「シェアハウス物語(Share House Story)」を最後までお読みくださり、ありがとうございました。 一軒の家に様々な人種が集まり一緒に住むこと、そこから見える日本と世界、そんなことが描いてみたくて始まった物語でした。 描きはじめると、一人一人の背景を掘り下げて描くことが難しくて、膨大にもできないし、簡素にもできないし、ちょうど良い内容にするのに苦労しました。 実際、ちょうど良かったかどうかは疑問なのです...
Read More

シェアハウス物語 エピローグ 

 例年よりも梅雨が早く明け、例年よりも暑くなりそうな夏が始まっていた。昼前から気温がぐんぐん上がり、冷房の効いた大学の建物から外に出たくなくなる。 前期の試験も終わり、宇宙は大学の掲示板でバイトを探していた。もちろんサイトでも探していたが、この掲示板にはローカルのよもやま話が集まる。 地元レストランの割引など、様々な分野のお得な情報も時々上がるのでチェックをする学生も多い。「サークルのイベント案内...
Read More

シェアハウス物語 23  ホーム 

 可哀そうなことに、メアリー・アンは会社をクビになったと同時に、住んでいたマンションからも追い出されることになってしまった。 一週間後には大きなスーツケースを手にバックパックを背負って、成田空港からフィリピンへ帰っていった。「みんなによろしく。だって」 メアリー・アンを空港まで見送った現の報告に、ムーカイ、ワンちゃん、宇宙が耳を立てる。 現はその後、メアリー・アンの会社に一緒に出向いて、メアリー・...
Read More

シェアハウス物語 22  捨て主(ぬし) 

 前夜は雨音の中で眠りについたけれど、朝は鳩の声に目が覚めた。 紅の部屋は、窓が西側に面しているので、朝は眩しいほどに明るいという光は入ってこない。 宇宙はセットした目覚ましが鳴る30分も前に目が覚めた。夕べのあれこれが気になって、少し早目にベッドに入ったせいかもしれない。身を起こしてさっと着替える。 音を立てずに部屋のドアを開けそっと部屋から出ると、向かいに黄金のドアが見えた。黄金の部屋は東に面...
Read More

シェアハウス物語 21 黄金の部屋にて(3)  

「大丈夫」「よかっ……」「とは簡単に言えないけど、そうであってほしいと思う」 それだけですべてを察することはできないものの、宇宙もムーカイも神妙な顔つきになった。「名まえはメアリー・アン(Mary Ann)。二十一歳。フィリピンから来たんだって」「二十歳過ぎてたんだあの子」 宇宙が目を丸くする。顔を見た時、日本人ではないとわかったけれど、歳や国籍までは分からなかった。細く華奢な体つきから、高校生くらいかと思...
Read More