オリジナル小説を綴っています。 拙いものですが、少しでもお話を楽しめる憩いの場になればと。

夢叶 79 

ティムは今度はギターを持ち出してきて、オーストラリアで広く人々に親しまれている「ワルチング・マチルダ」という歌を紹介した。

オーストラリアは多民族国家。先住民のアボリジニ以外は世界各国からの移民により人口が構成される。

外見がヨーロッパ人であろうが、アジア人であろうが、アフリカ人であろうが、アボリジニであろうが、みんな、オーストラリア人なのである。

色々な顔があり、肌の色があり、言葉がある、それがオーストラリア。

「ワルチング・マチルダ」は、移民の国ならではの自由さと厳しさを歌っていて、オーストラリア第二の国歌に推奨されたほど愛されている。

この歌は三拍子のワルツをベースにした曲ではなく、ギターの演奏がぴったりと合うカントリー・ソング。

どんな人種も受け入れてきたオーストラリアは、寛容で大らか。移り住んだ人々は皆、オーストラリアを自分の故郷と呼ぶ。

そのためか、オーストラリアにはカントリー・ミュージックのヒットソングが多い。オーストラリアは実はカントリー大国なのかと思うほど人気がある。

“Country is the best.”

「カントリーが一番」とティムが豪語する。他にもノリの良いアップテンポの曲や童謡なども含めて、オーストラリア人なら誰もが知っていると言われる、有名で親しまれている曲をいくつか紹介してくれた。

ティムが弾いて歌うと、どれもカントリー風になってしまうのが何だか面白い。その後はリクエストを募り、世界的にヒットした有名な曲をティムのギターに合わせてみんなで一緒に歌った。

“I’m sorry. I don’t know recent American.”

ティムはビートルズのようなクラッシックなヒット曲はよく知っていたが、その最近の曲のリクエストには困った様子だ。

「アイ・ノウ、ティム」

田島が手を挙げた。

“Shogo, can you play it?”

田島はティムからギターを受け取り、そのポップ・ソングを弾き始めた。みんなで陽気に歌い、弾き終わった後は大きな拍手が送られた。

“You’re too good, Shogo.”
「サンクス」

それから田島はティムやみんなから促されて、ヒットソングのメドレーを始めた。ヒットソング・メドレーは、カフェのライブでもやったし、シドニーの路上でもやっていたから、どんどん弾けた。

みんなは知っている曲が上がるたびに歓声をあげ、田島のリードに合わせて一緒に歌った。

そのうち、ティムが田島のギターに合わせてディジュリドゥを演奏し始めた。意外に合うギターとディジュリドゥとのコラボに拍手喝采となった。

“Shogo, play Japanese songs.”

日本の曲をリクエストされて、いくつか紹介する。ついでに、シドニーでやった高校時代の自分の曲も、中に織り交ぜて披露した。

みんなはもちろん日本の曲は知らないし、歌詞も分からないはずなのに、手拍子で盛り上がった。

“How many songs do you know, Shogo?”

ほとんどエンドレスでヒット曲を弾き続ける田島に、ティムもみんなも驚くと共に感心していた。田島はただ「楽しんで」とだけ言い、嬉しそうに微笑んで続けた。

田島がギターを弾き、ティムがディジュリドゥで合わせ、みんなで歌うという時間があっという間に過ぎて、夜も更けてきた。

一人、また一人と「おやすみ」と言っては寝床に向かっていく。

田島は、みんなが寝静まったあともまだギターを弾いていた。バラードなど、眠りを妨げないような曲を静かに歌ったり、インストで演奏したりしていた。

“This one is good.”

ロジャーもまだ起きていて、そばで田島が歌っているのをずっと聴いている。

“Is this a Japanese song?”
「・・・イッツ・マイ・ソング」
“Wow. Your song? Did you make it?”

夕べ寝る前に作った曲だと説明すると、ロジャーはさらに大きく目を開いた。

“Last night? You’re so cool, Shogo.”
「ドゥー・ユー・ライク・イット?」
“Yeah. I love it. Play again.”

昨日、星を見上げながらiPhoneに打ち込んだその曲を、田島はゆっくりとソフトに歌う。ロジャーが気に入ってくれたのが妙に嬉しかった。

キャンプファイヤーの火が弱くなり、とっくに寝る時間は過ぎていた。

ロジャーはスワッグに入るとすぐに眠ってしまったようだ。

―――これが俺の出来ること。やっていくこと。

田島は、満天の星空のもとでいつまでもティムのギターを抱え、ギターの弦の奏でる一音一音と会話でもするように、それらを優しく爪弾き続けた。



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やっぱり、歌っているときの田島が一番良い。かな(^^;)


『夢叶』に、ご意見、ご感想、ご助言等いただけると嬉しいです。

読んでいただき、ありがとうございます。皆様の一日が平和でありますように。

Have a nice day!
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Comment

Name - lime  

Title - No title

かっこいいなあ、田島くん。
ティムもみんなも、びっくりしたでしょうね。
あんなにギターうまいんだもん。

ヒットソングを軽々と弾いちゃう田島君。
私も一緒に歌いたい。いや、ヒットソングそんなに知らないかも。

音楽と言う言葉で、どんな人たちとも会話ができるって、素敵ですよね。
田島君のやりたいこと、見つかりそうですね。
2012.06.04 Mon 17:37
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - limeさん

コメントありがとうございます。

カラオケも好きですが、
ギターやピアノなどの生もの(?)の演奏のもとで
歌うのって、良いんですよね。
なんちて。そんな経験はほとんどないのですが・・・(^^;)

田島がすごいのは、練習しているからなんです。
(前もどこかで言ったような・・・)
コピーを侮ってはいけません。
コピーから始まるわけですから。
コピーが出来るようになるためには練習。
レパートリーを増やすためにも練習。

それが出来て初めてオリジナルにいけるのですよ。
(音楽評論家ではない)

いや、でも、練習は大事。
イチローも練習した。
いや、イチローと誰かを比べてはいかん(^^;)

なにここで熱く語っているのだろう(--)
お前も描く練習しろよ、って事ですね。はい、それは重々・・・(滝汗)

ということで、limeさん(と、戻ってきました)
田島と一緒に歌ってください。
ええ、心配しないで。田島が合わせてくれますから^^

音楽でお話の世界と現実の世界との会話も可能ですよ。かな。。。
limeさんの中ではどんな音楽が・・・?

田島のやりたいことがどうなっていくか、今後も見てやってくださいね^^
2012.06.04 Mon 21:04
Edit | Reply |  

Name - おなかぴーたろー  

Title - No title

オーストラリアの広大な土地には
カントリーミュージックが似合ってるんですね!

田島クン。ヒット曲は何を演奏したんだろう!?


ワ~ルチング・マチルダっi-185
ワ~ルチング・マチルダっ!e-291の、あ~しおと。
ひつじのむれを、追いながら~e-291
2012.06.04 Mon 22:57
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - おなかぴーたろーさん

コメントありがとうございます。

カントリー・ミュージック・フェスティバルとか、あります。
ポップやロックも人気ありますよ。アイドルとかも^^

田島が演奏したヒット曲は・・・
ぴーたろーさんもよくご存知の、あの曲この曲ってことで
(↑だからそれが何? ってことなんですよね。イミフですいません ><)

ぴーたろーさんのお好みのを歌わせちゃってください。
田島はだいたい何でもいけるんで。
一緒に歌うってのも有りで^^

> ワ~ルチング・マチルダっi-185
> ワ~ルチング・マチルダっ!e-291の、あ~しおと。
> ひつじのむれを、追いながら~e-291

お、ご存知ですか。ワ~ルチング・マチルダっ♪
実は、日本でも良く知られているんですよねっ^^
2012.06.05 Tue 00:12
Edit | Reply |  

Name - fate  

Title - ワルチング・マチルダ!!!!

ぎゃあああああっ、大好きでした、その唄っ!!!
あああああ、生で聴きたいよぉぉっ

>―――これが俺の出来ること。やっていくこと

↑おお、田島くん、ようやくそれを掴んだね。
それは、きっとこうやって多くの人と触れ合って、壮大なもの、美しいもの、圧倒される風景に触れたからこそ至れた境地であろうなぁ。

親友を亡くしたときのエピソードは今でも痛いですが、それすら、彼の一部分として溶けていけるだけのものを手にしたような気が致します。

さすが、大陸。
さすが異民族の国。
そのスケールの大きさは、インディアン・パシフィックで延々と砂漠を見つめたときの心が静かになって、自分を無くしていく感動に似ているのだろうか。

うう、まだ、苦しいなぁ。
でも、田島くんの旅は満たされていて安心する。

早く無事に帰って来いよ~(^^)
2012.06.05 Tue 10:40
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - Re: ワルチング・マチルダ!!!!

fateさん、そのリアクション、ありがとうございます。

ああ、またその一言のために、1エピソードを使ってしまったのパターンで・・・(汗る)

> それは、きっとこうやって多くの人と触れ合って、壮大なもの、美しいもの、圧倒される風景に触れたからこそ至れた境地であろうなぁ。

ありがとうございます。悟りの境地には至りませんが、ちょっとづつ前進です。

> 親友を亡くしたときのエピソードは今でも痛いですが、それすら、彼の一部分として溶けていけるだけのものを手にしたような気が致します。

fateさん、鋭いですねぇ。次回、ちょっとこれに触れます。ちょっとね。ちょっと予告。

> さすが、大陸。
> さすが異民族の国。
> そのスケールの大きさは、インディアン・パシフィックで延々と砂漠を見つめたときの心が静かになって、自分を無くしていく感動に似ているのだろうか。

お、すごい、fateさん、横断したんですか。
捕らわれてしまうというか、持っていかれてしまうというか・・・
そのときはfateさんを無くしてしまったのですか。
きっとそんな感じです。戻ってこられて良かった^^

> うう、まだ、苦しいなぁ。
> でも、田島くんの旅は満たされていて安心する。

田島は吸収するばかりで満たされまくりです。
Aus編が長くてすいません(><)
どうか宜しくお付き合いください(^^;)

> 早く無事に帰って来いよ~(^^)

ドキッ・・・まだ出発してから一ヶ月もたっていない(><)
どゆことっ(--;)
2012.06.05 Tue 18:31
Edit | Reply |  

Name - 城村優歌  

Title - こんばんは

ううう(感涙)、よかったよぉ、田島ぁ~って肩を抱きたくなるぅ…。

野外で、ギターで、ジャムって、みんなで歌って、もう最高ですね。
ライヴ感ありありで、こういうアンプラグドな感じ、大好き!

田島くん自己再確認ですね~(しみじみ)。
よかったよぉ、田島ぁ~(ってもう、田島くんのダチな気分デス^^)。
2012.06.05 Tue 21:12
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - Re: こんばんは

城村優歌さん、ううう、コメントありがとうございます(感涙返し)

田島ぁ~って、肩を抱いてあげてください。
お姉さまからのハグは24/7で大歓迎オープンです^^

> 野外で、ギターで、ジャムって、みんなで歌って、もう最高ですね。
> ライヴ感ありありで、こういうアンプラグドな感じ、大好き!

キャンプ・ファイヤーではみんなで歌いたい派、かも。田島がですよ(^^;)
野外は開放的で良いですよね。テンションあがります。田島がですよ^^

> 田島くん自己再確認ですね~(しみじみ)。
> よかったよぉ、田島ぁ~(ってもう、田島くんのダチな気分デス^^)。

ははは。ダチってください。
田島はほら、瞬とか、徹さんとか、背中を押してくれる友人がいないと
自分だけではなかなか前に進めない奴なんで、城村さんからも^^

けど今は一人なんだよね。この先大丈夫か・・・(ちょい汗)
2012.06.05 Tue 23:12
Edit | Reply |  

Name - ソライエ  

Title - No title

歌う田島君が戻ってきた!
なんか安心するなぁ。

で、田島君、次はなにをする?(笑)
2012.06.07 Thu 09:29
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - ソライエさん

コメントありがとうございます。

私も田島が歌っていると安心します。
本来の姿という感じで。

で、次はなにをするかといと・・・知りたい?(笑)
何と! ・・・知りたい?(再笑)
じゃあ、ソライエさんのために大サービスね。
ロジャーをちょっといじめちゃいますっ(ちょい予告)

こら、田島っ。ロジャーファン、ごめんね。
ロジャーファンいるのか?(汗)
2012.06.07 Thu 17:43
Edit | Reply |  

Name - あかね  

Title - 音楽に国境はない

月並みですが、タイトルの通りですね。

私なんかは日本語以外はまったく解しませんが、ラテンも英語の歌もシャンソンなんかも好きです。
メロディで好きになって、ネットで調べられるようになって訳詩を見てみて、へええ、こんな歌詞なんだ、なんて思ったりもして。

音楽の好き嫌いって不思議ですよね。
けいさんにも新しいバンドを教えていただきましたが、他のひとにも教えてもらって聴いてみる。
名前だけは知っていたロックバンドを改めて聴いてみて、これは好きではないな、と思ったりする場合もある。

話がそれましたが、こうしていろーんな経験を積んだ田島くんの将来は、世界的ミュージシャンかなぁ。音楽は趣味なのか。
どっちにしても経験って大切ですよね。
2013.05.28 Tue 13:59
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - Re: 音楽に国境はない

あかねさん、コメントありがとうございます。

ホント、音楽に国境はないですね。同感です。

シャンソンですか。フレンチですね。
歌詞がわからなくても、曲調や歌い手さんのパフォーマンスなどから気になる歌ってありますよね。
英語の歌だって、学生の頃はほとんど分からなかった。

> 音楽の好き嫌いって不思議ですよね。

不思議です。たまたま見つけたのが気に入ったときは、嬉しくなったりします。
結構前ですが、イタリアン・ロックのバンドを見つけたときは、歌詞の分からない世界に浸ってしまいました。
ジャンルはロックなんです。ノリもファッションもスタイルもロックなんです。
でも、イタリアンの歌詞が全く分からない。でも気に入ってしまって。
不思議でした。

田島の将来は・・・どうなるんでしょうね。
そこまで面倒は見ないかも。はは。
色々な経験を積んで、自力でやっていけるでしょう。
たぶん・・・(^^;)

経験は大切ですね。
田島がこれからもどんな経験をしていくのか、見てあげてくださいね^^
2013.05.28 Tue 22:20
Edit | Reply |  

Name - LandM  

Title - 

そういえば。
オーストラリアも多民族国家ですよね。
そういった意味では民族同士で折り合いを持ってやっているのですかね~~。
・・・と思います。
民族問題とか宗教問題とかありますけど、仲良くしてほしいですね~~。
2016.07.09 Sat 17:27
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - LandMさん

コメントありがとうございます。

はい。多民族国家でいろんな人々がいます。
いろんな人がいますが、みんなオーストラリアンとしているので、その中で共に生きているという感じですかね。
民族も宗教もバックグラウンドもそれぞれ違うのですが、オーストラリアンという共通の感覚がみんなを一つにしている。
そこの結束固いです^^
2016.07.10 Sun 09:30
Edit | Reply |  

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