オリジナル小説を綴っています。 拙いものですが、少しでもお話を楽しめる憩いの場になればと。

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怒涛の一週間 18 土曜日(1) 

 プルルル・・・

 携帯に起こされた。今日は土曜日で休みなのに。誰だ?

「もしもし・・・」
「晃次? あたし」

 実家の姉だ。姉は結婚しても実家に残り、家を2世帯住宅に改装して母と一緒に暮らしていた。

「何?」
「晃次、『課長代理』っていうのになったんだって? おめでとう」
「え、ああ」

 そういえば、実家には留守電にとりあえずの連絡を入れておいた。

「お祝いに今日みんなで一緒にディズニーランドに行こう」

 姉はディズニーランドが大好きなのだ。子どもたちの誕生日やら夫婦の結婚記念日やらに合わせてよく行く。

「いや、俺、今日は疲れてるからやめとく」
「だめ、今日はお母さんの誕生日だし、晃次の昇進祝いも兼ねて、みんなでリゾートホテルに泊まるから」

 姉はすでにホテルの予約をしているらしい。母の誕生日のことなどすっかり忘れていた。

「はぁ~・・・わかったよ。けど、俺マジですっごく疲れてるから姉さんの子どもたちの面倒は見られないよ。それから、俺は夜のパレードまでは残らないからホテルにも泊まらない。自分の家に帰るから」

 週末は家でゆっくりしたかったのに。あの人ごみの中に行かなければならないのかと思うだけで体調が悪くなりそうだったが、母の誕生日では仕方が無い。

 数年前に父が他界した時、父は遺言で家族の行事ごとは大切にするようにと残した。俺たち家族は父の思い出と共にそれを守っていた。

 夕べのひどい頭痛は治まっていたが、体は酷くだるかった。

「疲れだな」

 俺はそう呟いてジーンズに着替えた。



 ディズニーランドは思ったほど混んではいなかった。姉たちとはワールドバザールのカフェで待ち合わせをして合流。

 メンバーは、母、姉、姪っ子二人、それと俺の五名。姉と母はショッピングに忙しく、結局姪っ子二人のアトラクション巡りは俺の役目となった。

 土曜日の割には乗り物の列がそれほど長くなく、人気の高いもの以外はだいたい二十分程度の待ち時間で乗れた。

 姪っ子たちのお気に入りはスプラッシュ・マウンテン。これだけはファストパスを使って何度でも乗りたがる。

 彼女たちのパワーは一日中変わることなく、ディズニーランドの隅々まで一緒に付き合わされた俺は、夕方にはヘトヘトになっていた。

「おじちゃーん!」

 ―――うっ・・・間違ってはいないが、俺まだ余裕で二十代。

「おじちゃん、もう一回!」

 スプラッシュ・マウンテンのことだ。ま、あと一回並んで、乗って、出てくるころには晩御飯の時間だな。

「いいよ。でも、これが終わったら、ママとおばあちゃんの所に戻るよ」

 そう言って列に並んだ。もう夕方のこの時間にはファストパスは発券終了となっていて、誰もが普通に並んでいた。

 ―――ディズニーランドには普通彼女と来るだろう。

 並んで順番が来るのを待っている間、目につくのはカップルばかりだった。つい先月、そのときはまだ俺の彼女だった真美と来た時のことを思い出してしまった。

 ―――やっべ。俺、相当疲れてる。

 スプラッシュ・マウンテンを待っているその列の前方の誰かが真美に見えてしまった。

 「え?」

 もう一度その方向を見た時に、俺の目は確かにそこに居る元カノの真美に釘付けになった。誰と来てるんだ。

 ―――あいつ知ってる。スイムのバイトだ。年下じゃねーか。

 俺の頭の中でヘビメタがガンガンに鳴り始め、目の前がチカチカしてきた。

 それからはどうやって二人の姪っ子を引き連れてスプラッシュ・マウンテンから降りてきて、どこをどう歩き、姉を見つけて姪っ子たちを引き渡したのかよく覚えていない。

「姉さん、俺、ホント疲れて調子悪いからもう帰るわ。お母さん、誕生日おめでと。パレードと花火、楽しんでね。じゃ」

 俺たちはファンタジーランドに新しく出来たレストランで晩御飯を食べていたが、食事がすむと俺は席を立った。



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   週末、家でゆっくり過ごせるのでしょうか。次回最終話です。

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 読んでいただき、ありがとうございます。皆様の一日が平和でありますように。

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Comment

Name - あかね  

Title - こーじくん、お疲れさまです

老いも若きもの女性ばかりに囲まれて、ディズニーランド。
そりゃあ、彼女と行ったら楽しいでしょうけど、この状況だとお疲れもひとしおでしょうね。

私はディズニーランドにはだいぶ昔に一度行ったきり。
ディズニーランド大好きって同い年の友人がいて、彼女も姪と行ったりしているそうですが、私はもういいです。

この暑さの中、こーじくんの奮闘を読ませていただいていると頭が下がります。
若いっていいですね。おばさんは……いえ、おねーさんはしみじみしてしまいます。
2012.08.01 Wed 10:12
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - Re: こーじくん、お疲れさまです

あかねさん、コメントありがとうございます。

おじちゃーん(←正しい呼び名)と言われつつ、姪っ子たちの面倒をちゃんと見ましたよ。
楽しいことにかける子どもたちのパワーは凄いですよね。
それに付き合うのは大変です(^^;)
そういえば、確かに女性ばかりだ。彼女抜きの。

え、もういいのですか、ディズニーランド。
私は自分からというよりも、人を連れてという状況で時々行きます。

> この暑さの中、こーじくんの奮闘を読ませていただいていると頭が下がります。
> 若いっていいですね。おばさんは……いえ、おねーさんはしみじみしてしまいます。

ははは。今年は暑いみたいですね。
こーじくんの怒涛に季節はあるのか。
若いときに奮闘しなくていつするん。
おねーさんはうちわふりふりでのんびりしましょう^^
2012.08.01 Wed 18:27
Edit | Reply |  

Name - LandM  

Title - No title

確かに疲れたときは眠りたいですよね。。。
うん、気持ちはすごく分かります。
仕事の後は休みたいですからね。。。

って20代だったら、もっと元気に仕事と遊びを両立させろ!!
(-_-)/~~~ピシー!ピシー!
2015.08.29 Sat 09:49
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - LandMさん

コメントありがとうございます。

疲れたときに眠るのは自分でもあったり・・・(^^;)

ぷぷ。こーじ君、20代らしからぬ、でしたかね。
すでにおじちゃーん(?)

> (-_-)/~~~ピシー!ピシー!

今週はいろんなことで元気が奪われたかも(?)
ピシー!^^
2015.08.29 Sat 12:36
Edit | Reply |  

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