オリジナル小説を綴っています。 拙いものですが、少しでもお話を楽しめる憩いの場になればと。

夢叶 109 

「ワオ! エディー!」
“Hey, Shogo. How’s it going?”

久しぶりに聞くオージー・イングリッシュに、懐かしさがこみ上げる。再会の握手を交わし、お互いの肩をポンポンと軽くたたき合う。

シドニーでは、ビーチ沿いのホテルで、ビールをガブ飲みしながら肩を組んで一緒に歌って騒いだ。そんな一夜が、まるで夕べの事のように思い出された。

エディーはフェイスブックから、田島がニューヨークにいると知っていたはず。けれども・・・田島はふと一息おいた。

「ワット・アー・ユー・ドゥーイング・ヒア?」
“Asking you to sing a song about me.”
「そうじゃなくて」

「ったく」と目尻を下げて、自分より少し背の高いその人物をまじまじと見ると、ウエーブがかった薄茶色の前髪の間から、見覚えのある青い瞳が覗いているのが見えた。

「やっぱりアーモンド型じゃないよな」
“What’er you talking about?”
「アバウト・ユー」
“About me? You mean, the song?”

首をかしげるエディーの横で、さっさと路上の片付けをすると、田島は「行こう」と歩き出した。

セントラルパークの歩道を、エディーと田島は肩を並べて歩く。シドニーで二人で過ごした時間は、ほんの少しだったにもかかわらず、再会に話題は尽きない。

“I was born in New York.”
「へえ、そうなんだ。かっこいいなあ、ミーンズ・クール」

エディーはシドニーの大学で勉強していたMBA(経営管理学修士課程)のコースを終え、ニューヨークに住む父親に会いに来たのだという。

アメリカ人の父親とオーストラリア人の母親が離婚したのは、エディーがまだ幼かった頃のこと。エディーはシドニーで育ったけれども、父親のいるニューヨークの方も毎年のように訪れていた。

“I want my mum and dad to be together again.”

「両親とも、大好きだから」とエディーは微笑む。最近の情報としては、何の話題があるのか、二人は頻繁に連絡を取り合っているらしく、もしかしたら、今チャンスかも、と息子なりの見解を語る。

「グッド・ラック、エディー」
“I’ll do my best.”

セントラルパークを抜けて、田島がエディーを案内した先は、「トニーズ・カフェ」。サマーステージのあとも、トニーとの交流は続いている。

時々ライブカフェに顔を出しに行くと、有無を言わさずに「新曲を歌え」とピアノの横に立たされる。新曲を披露した後、必ずその出来を褒めてくれるのは、出会ったときと変わらない。

エディーを連れて、店の前に置かれた「NOW OPEN」の看板をよぎり、海賊船にある扉のような、重厚な焦げ茶のドアに手をかける。

その扉は見た目ほど重くはなく、ギイという擦れた音の代わりに、カランという軽いドアベルの音を鳴らして開かれた。

“Hey, Johnny. What’s up?”
“Johnny? Shogo?”

店に入った途端に陽気に声をかけてきたトニーの勢いに、目を丸くするエディーが思ったとおりの引き目のリアクションを見せる。

「ヘイ、トニー。ドゥー・ユー・リメンバー・マイ・ネーム?」
“What’s the problem, Shogo?”

問題など無いだろう、というようにトニーは「ニッ」と笑い、一瞬にして「ジョニー」に戻る。

“Hey, boy. I’m Tony and this is Johnny. You know, he is a very good singer.”

エディーに向かって弾丸トークを始めるトニーに、やっと「シドニーの友だち」と紹介して、テーブルに着く。

「乾杯!」
“Cheers!”

トニーの焼いたローストをつまみながら、エディーと田島は改めて再会を祝してボトルを合わせた。



< 前話  TOP  次話 >



にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ
にほんブログ村   ワンクリックの応援ありがとうございます。 Thanks in advance!

人気ブログランキングへ  Thanks again for the click!




エディーと初めて会ったのは、シドニーに着いて2日目のことでした。(← 70話71話


ご訪問、ありがとうございます^^

『夢叶』に、ご意見、ご感想、ご助言等いただけると嬉しいです。

皆様の一日が平和でありますように。

Have a nice day!
関連記事
スポンサーサイト

Comment

Name - lime  

Title - No title

なんと、エディーでしたか。
久々の登場!
ワンコの方じゃない、エディーだ^^
まさか、ニューヨークで会えるとは。

トニーの店で、ローストビーフ食べながら、エディとの再会を祝えるなんて、最高だね、田島くん!
飲み過ぎないようにね!
(いや、たまにはいいか)

2013.05.01 Wed 18:45
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - limeさん

エディーを覚えていてくださって、ありがとうございます。

はい。ワンコの方ではありません。
まさかの再会で、ちょいつるみます(←ネタバレだーい)

田島は誰かと一緒に飲むときは、よくハッピーアワー化するんです。
この日も、トニーのライブに乱入して、ジョニーぷりを見せてくれたことでしょう(たぶん?)
2013.05.01 Wed 19:21
Edit | Reply |  

Name - LandM  

Title - No title

やはり小説に教養がでますね。
英語があるだけで、結構国際的な小説だなあ・・と思いますね。
けい様だからこそできる小説だなあ。。。

・・と今更ながら思います。
2013.05.01 Wed 20:25
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - LandMさん

褒めてくださり、ありがとうございます。
照れるなぁ・・・なんちて。
↑褒められて伸びるタイプ。(こら、調子に乗るタイプ、だった・汗)

いやいや、セリフはどうしようかと実はちょっと考えたのですよ。(これでも)
横書きスタイルだから良いかな、とか、キャラは日本語喋れないよね、とか・・・(-_-;)
なるべく読みやすく、優しい(易しい)英語、とは心がけている、つもりなんですが・・・
良いのかなあこれ、といまだに思いつつもこのままで行くかなぁと(汗)
英語表記については、何かアドバイスをとずっと思っていたので、コメントがいただけてとても嬉しいです。

これからも色々なことを試しつつ、物書きを精進してまいりますので、宜しくお願いします^^
2013.05.01 Wed 21:56
Edit | Reply |  

Name - -  

Title - 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013.05.03 Fri 11:59
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - 鍵コメさん

ありがとうございます。

あとで、メッセージしますね^^
2013.05.04 Sat 07:59
Edit | Reply |  

Add your comment