オリジナル小説を綴っています。 拙いものですが、少しでもお話を楽しめる憩いの場になればと。

夢叶 112 

車の窓を全開にして、吹き込む海風に目を細めながら、ゴールデンゲート・ブリッジを渡る。サンフランシスコで少しだけ寄り道をしてから、アメリカ西海岸をロサンゼルスまで南下してきた。

フェイスブックで連絡されたとおり、シティーから少し離れたショッピングセンターにある駐車場に車を止め、時間が来るのを待つ。

「ショーゴ、元気ぃ~?」

輝く金髪をなびかせ、小走りに近づいてくるなり、ギュ、とそれが当たり前のように抱きつかれる。いや、当たり前ではないのだけれども、どうもかわすタイミングが合わない。

ふくよかな胸が体に密着し、ぱちぱちと素早く上下に動く長いまつげが接近する。その大きく青い瞳に視線を合わせながらも、背筋と首筋をピンと斜め後ろ方向に伸ばし、チュ、は何とか回避する。

「ナタリー、今何してるの?」

すかさず、満面の笑顔でたずねた。

「まだ、ニート」
「相変わらずオタクしてるんだ」
「オタクじゃないの。ニート。ショーゴ、使い方違う」

目の前で展開されるスキンシップに釘付けのエディーの目が、アーモンド型、いや、クルミ型をも超えるほどに広がっている。

「あ、ごめん。エディー、ディス・イズ・ナタリー」

首に回された腕から開放された田島が、酸素補給を求めるようにエディーの方を向く。

“Hi, Eddie. Nice to see you.”
「ナタリー、英語うまいなあ」
「何言ってんの、ショーゴ。私、アメリカ人」
「あれ、ハーフかと思った。あ、イタリアンだっけ?」
「ショーゴ、話聞かないと、ぶっ飛ばすぞ」
「お、そのセリフが聞きたかった」

ナタリーと田島の漫談が理解できないエディーが、主人の立ち話が終わるのを待つ行儀の良い飼い犬のように傍らで佇む。

「お前ら、どういう関係?」とでも言いたそうに目を泳がせるが、日本語を知らないエディーは黙っているしかない。

「じゃあ、うちに行こうか」と話題が動いたところで、やっとエディーも話の輪に加わることができた。

町外れの住宅街に並ぶ家を「こんな家に住んでみたいよなぁ」とつぶやきながら、一軒一軒眺めて行く。「そこ」とナタリーが指差したところに、白塗りでとんがり屋根を持つ木造の家が見えた。

“Hi, guys.”

出迎えてくれたのはナタリーの友人でジャーナリストのマット。ナタリーとマットでこの家を借りて、ハウスシェアをしているのだという。

“Hi, Matt.”
“Hi, sweety.”

単なるシェアメイトとは思えない二人の親しげなハグとキスに、「あれ?」と田島とエディーは顔を合わせて固まる。

“This is Shogo and this is Eddie.”
“Matt. Welcome to Los Angeles.”

この二人の関係についてはあまり突っ込まない方が良いだろう、との共通理解が田島とエディーの視線の間を光速で走り、マットとは普通に握手をすると、家の中に案内された。

早速次の日から、自称ニートのナタリーが、ビバリーヒルズ、ハリウッド、テーマパークと、世界中の誰もが知っている観光名所に連れて行ってくれて、旅の記念写真が増える。

バスキングの方は、サンタモニカのサードストリート・プロムナード(Third Street Promenade)から始めた。ストリート・パフォーマンスに慣れているこの場所は、人も空気もフレンドリーで、気持ちが良かった。

「「乾杯!」」
“”Cheers!””

今夜はマットも加わって、四人でダウンタウンのLAライブ(L.A. LIVE)に繰り出す。オープンしたばかりの新しいレストランに味見に行こうと、マットが連れてきてくれた。

20代から30代前半のお客をターゲットにしているという店内は、明るく都会的で、ヒット中のダンスミュージックが大きめのボリュームで流れている。

“Shogo, tell me your story.”
「マイ・ストーリー? って何?」

久しぶりに今週末は休みが取れると機嫌の良いマットが、二本目のビールのボトルを手にして、田島に話題を振ってきた。

マットはジャーナリストとして新聞や雑誌にいくつものコラムを持ち、各地を飛び回っている。家にいることも少なく、いても常にPCに向かって仕事をしている。

今夜来たレストランについても、記事を書くのだろうか。店に入ると店長らしき人が挨拶に来て、先ほどからサービスもすばらしく良い。

“I’m quite interested in your way to stay in the States.”

だから何だろう、と首をかしげる田島に、獲物を狙うハンターのようなマットの視線が向けられていた。


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皆様の一日が平和でありますように。

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Comment

Name - 城村優歌  

Title - No title

ナタリー! キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
通りすがりキャラじゃないと思っていました^^
この絡み方、好きだなぁ。
単なるニートではなさそうだし、
マットの存在も気になりますね。

ロサンゼルス、行ったことがないのですが、
映画その他、いろんなメディアで目にする場所なので、
風景を想像するに難くなく、楽しいです。
ミュージシャンも多いですよね~。

次回も楽しみ~^^
2013.05.20 Mon 12:31
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - 城村優歌さん

コメントありがとうございます。

キタヨー!!!!
通りすがりキャラじゃないヨー^^

> この絡み方、好きだなぁ。

ありがとうございます^^

ナタリーが、単なるニートでないなら、単なる・・・なんでしょ(^^;)
マットとは仲良し。

ロサンゼルス・・・ふふふ。
私も行ったことないですよ。
いろいろを駆使して描きました(たいして描いていないし -_-;)
不足・間違いがあったら教えてくださいね。
ちょい裏話でした^^

次回はねぇ~まだ描いていない・・・(滝汗;)
2013.05.20 Mon 18:27
Edit | Reply |  

Name - lime  

Title - No title

ナタリーだあ^^
つい最近のような、ずっと前だったような。
けっこうインパクトありな、元気な彼女でしたもんね。

こうやってまた再開できてよかったね、田島くん。
そして、シェアメイトのマットくんが、またちょっと気になるお方です。
インタビューされちゃう?
もしや、ちょっといいこと、ありそうな、なさそうな(どっちだ)
これもフェイスブックのおかげですね?

私、放置したまんまだなあ・・・。いつか、やってみようかなあ・・・。
2013.05.20 Mon 18:30
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - limeさん

コメントありがとうございます。

ナタリーだよーん^^
ホント、ブログ時間と、話の流れ時間とにギャップがぁ(-_-;)
ナタリーを覚えていてくださって、ありがとうございます。

フェイスブックで再会です。
実は・・・私は・・・フェイスブックをやっていない。
田島のフェイスブックが見れない・・・なんちゅーこっちゃ(><)

はい。マットにインタビューされます。
喋れるのか、田島。てか、作者(滝汗)
2013.05.20 Mon 18:57
Edit | Reply |  

Name - LandM  

Title - No title

ナタリーですね。
広いアメリカでまた会うのも珍しいですね。
すべての出会いも采配次第だと思いますが、それでも出会いは一瞬の光のように輝いていて、そして尊いものですね。
2013.05.23 Thu 20:19
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Name - けい  

Title - LandMさん

コメントありがとうございます。

ナタリーでした^^
NYで逢って、LAで逢って、ちょっと違うような変わらないような・・・

> すべての出会いも采配次第だと思いますが、それでも出会いは一瞬の光のように輝いていて、そして尊いものですね。

何か素敵なお言葉をありがとうございます^^
つきなみですが、一期一会、これですね。
そして、それぞれの光はどこかで重なり、つながることもある、と思っています。
またお越しください^^
2013.05.23 Thu 22:24
Edit | Reply |  

Name - あかね  

Title - 英語の会話

私もグラブダブドリブストーリィのときなんかは、イギリス人やアメリカ人が出てきて、うーむ、ここ、英語で喋ってるんだよなぁ、とわかっていても日本語で書いてお茶を濁してますが。

けいさんはそのあたりの兼ね合いがお上手ですよね。
英語の会話をそのまんま書くと、私みたいな人間には意味不明で、日本語をまじえて、それでいて、英語で話していると読者にもわかるように。

私にはそのあたりがとーってもむずかしいので、さすがだなぁと感心させてもらっています。

田島くんって、しかし、けっこうお堅いですよね。
可愛い若い女の子のキスを回避するんだ。
うちのミュージシャン連中だったらほぼすべて、喜んでお受けします(^o^)
キャラによっては、もっと先……え? とか言いそうな奴もいます。
2013.10.28 Mon 00:52
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Name - けい  

Title - Re: 英語の会話

あかねさん、コメントありがとうございます。

英語表記についてはちょっと迷ったので、そう言っていただけると安心します。
田島が英語圏を旅するに当たり(最初がオーストラリアだったし)、やはり日本語のみでは行けないと思ったのです。旅先で出会う人みんなが日本語しゃべれるわけないじゃん、て。田島だって、英語がペラペラしゃべれるのではないし。とか。それで、なるべく自然な会話にしようとしたら、やはり英語表記になり・・・。いろいろな手法があるのでしょうが、私にはこれが精一杯の表現でして。このお話、縦書きにはならないことになりました(^^;)

田島、お堅いのか。そうか。
それで彼女いない暦・・・気がつかなくてごめん(-_-;)
ちょっと、あかねさんのところにおじゃまして、喜んでお受けする手ほどきを受けねば。
ついでに、もっと先……(え?)に進むワザを教えてくれるのは、誰かなぁ~~^^
2013.10.28 Mon 20:41
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