オリジナル小説を綴っています。 拙いものですが、少しでもお話を楽しめる憩いの場になればと。

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夢叶 119 

盛大な拍手。歓声の中でも、デイブの声がひときわ大きく聞こえた。

―――なんか妙・・・

いつもはテレビやPVの中でしか見ることのない、アメリカのセレブたちが、すぐそこにいる。田島に目を向け、拍手を送る。夢を見ているようだ。

“Sing in Japanese, Johnny.”

トニーに言われるまま、自分の歌を思いきり日本語で歌う。拍手と歓声は変わらない。むしろ先ほどより大きいかもしれない。すべてを受け入れてもらえたようで、嬉しかった。

“Too good, Johnny.”
「サンクス、トニー」
“Everybody like you.”
「ハウ・ドゥー・ユー・ノウ?」
“Because I know.”

トニーは、すべて分かっている、というように「ニッ」の笑顔を見せる。デイブの方を見ると、やはり人懐っこい笑顔で「ニッ」としている。キミーも。

良く見ると、みんなそうだった。田島も何かに降参したかように、ゆっくりと口元を上げて「ニッ」と返す。これでファミリーの一員になれたような気がした。

“Good boy, Johnny. Enjoy tonight.”

田島が歌った後、「トニー・アンド・ジョニー」がトリを努める。結局田島は、ゲストの中では最後に紹介されたのだった。

カウンターに戻ると、エディーが「良かった」と興奮気味に田島の肩をたたいて迎え、キミーがビールを持ってきてくれた。

“You’re fantastic, Shogo.”
「サンキュー、キミー」
“I also like your Japanese songs. Because I can feel it.”

もちろん、キミーには日本語は分からない。けれども、確かに何かを感じ、伝わるものがあった。トニーの言ったとおりだ、とキミーは確かめるように田島を見つめた。

“How many languages are there in the world, you think?”

エディーも一緒に考える。方言なども数えて、「1000ぐらい?」と答える。

“Tony said, there is only one language in the world. And it is called the ‘heart’.” 

即座にエディーが「さすが、トニー。言うことが違う」と身を乗り出す。

「世界にある言語はただ一つ。それは、心という言語、かあ」

田島もトニーの言葉を小さく口にして、キミーの言うことに耳を傾けた。

“He said, Shogo has a true heart.”

初めてセントラル・パークで田島の歌を聴いたとき、それは耳に入ってきたのではなく、心に入ってきた、というトニーの言葉が、キミーから田島に伝わる。

“I truly understand why Tony has been so excited about you.”

音楽に込められた心が、メロディーと共に贈り出され自分に届いた。そう言ってトニーはこうした、とキミーはポンポンと自分の胸に手を当てた。

初めて聞かされるトニーの言葉に、恐縮してしまうくらい嬉しく思う。トニーが、田島のことをいつも褒めてくれていたのを思い出す。

“He wants you to stay in New York.”

照れ笑いと共に、田島は「それは難しい」と答える。「何で?」とエディーが反応する。

「アイ・ハフ・トゥー・ゴー・ホーム」
“He knows it.”

「トニーは分かっている」とキミーが言う。「だから言わない」と。

“Tony really knows everything about Shogo.”
“Yes, he does.”

「せっかく出会ったのに」とエディーがため息を漏らす。そのエディーのわきから、幼稚園くらいの女の子が不意に顔を出した。

その子はキミーに「抱っこ」とせがむと、キミーはその子を「孫なの」と軽く紹介して、「Excuse me」と行ってしまった。

「孫、なの?」

あっけにとられる田島の横で、エディーも目を丸くしている。二人で顔を見合わせた。

どうやら、子どもたちは帰る時間らしい。カラカランとドアベルを鳴らして、子どもたちがバイバイと出て行く。孫を抱っこして挨拶するキミーやファミリーにバイと手を振る。

“Hey, Johnny, where are you?”

バイをした片手を上げたままピアノの方に振り返ると、トニーがキョロキョロと田島のことを探しているのが見えた。

“Are you hiding?”
「ノー。アイム・ヒア」

キミーに振ったバイの手を、今度はトニーに向かって「ここにいる」と振る。

“There you are. Come over here. It’s time.”
「タイム? みんな帰る時間じゃないの?」

呼ばれるままにふらふらとトニーの方へ行く。テーブルについている大人たちは、まだまだ飲んでいて、帰る様子など全くない。

“Are you enjoying, Johnny?”
「イエス」
“That’s good. So, you’re ready, aren’t you?”

首を傾げる田島の返事を聞くことなく、トニーはイントロを弾き始めた。それでわかった。4コード・ソングが始まる。

「トニー、聞いてないよ。アイム・ノット・レディー」
“One chorus each. Okay, Johnny? Here we go.”

いつも通り、トニーのペースですべてが始まる。トニーのピアノのもとでは、何の抵抗もできない。目の前にいるみんなが「ニッ」の顔を見せて、田島が歌い出すのを待っている。

―――パーティーはこれから、なんだよね。

田島は、ため息をついて少しうなだれてから、覚悟を決めたようにトニーの弾くイントロに合わせて、大きく息を吸い込んだ。



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田島、トニーのもとで、朝までコース。

今回の最後のシーンのイメージモデルは、7th heaven というバンドです。
メンバーが実力者揃いで、すごく良いのです。
このバンドの解説をされている、ブログお友だちのおなかぴーたろーさん曰く

  どーみても、ギタリストに見えない(似合わない)
  「メタボのおっちゃん」と、
  ボケ~~と、表情を全く変えない
  「ベースの兄ィちゃん」
  アタマが来ちゃってる感じの「ドラマー」と、
  とかく何でもこなす「ボーカル」がウマイ!

ぷぷぷ。ぴーたろーさんのブログ「ぐーたら人間のおバカな人生と阪神応援日記とメロディアスHR」を是非ご覧ください。
ちなみに、この記事以外にもこちらのブログには笑える記事が満載です。ぴーたろーさんの記事を読むときのアドバイスとしては、飲み物は厳禁です。吹きます。くれぐれも要注意^^
ぴーたろーさん、いつもありがとうございます^^

7th heaven - Pop Medley 2 - Studio Virsion – Part 1


https://www.youtube.com/watch?v=JoLP1ax6bs8

私はやはり、どんな曲でも歌いこなすリードボーカルのキース(Keith)に惚れる。くぅ~~・・・

是非パート3まで^^


ご訪問、ありがとうございます^^

『夢叶』に、ご意見、ご感想、ご助言等いただけると嬉しいです。

皆様が素敵な一日を過ごせますように。

Have a nice day!
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Comment

Name - lime  

Title - No title

田島くんが歌う日本語での歌って、ネイティブさんたちにはどんなふうに聞こえるんでしょうね。日本人にはわからない、日本語の質感・・・。柔らかいのかな?

歌詞って、どこの言葉でも、ハートで伝わって来るから不思議ですよね。共通の言語は、心かあ。いいこと言う。
田島くん、朝までコースになっちゃったんですね。
トニーに、いっぱい搾り取られてください。(なにを?)

息子のバンドも夏のレコーディングに向けてせっせと歌詞作り中。ボーカルの子は英語にこだわるけど、「一度日本語で歌ってみたらいいのに」と言ってやると、「俺もそう言ったんだけどね」と、残念そう。
ファンが増えてきたんだと、嬉しそうにLINEを眺めてました。・・・しかし、学校は、大丈夫なのか・・・?
2013.07.03 Wed 09:00
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - limeさん

コメントありがとうございます。
ぷぷぷ。とうとうやっちまいましたよ、私たち^^
コメ入れ合あった時間、ピッタリ一緒です。ワラワラ。ふっふっふ。

何年か前にテレビで‘Euro Music Festival’みたいなコンテスト番組を見ました。
ヨーロッパ各国から代表のアーティストたちが自分たちの曲を披露して、外部リクエストを一番多く受けた曲が優勝という番組でした。ヨーロッパ各国の言語が全く分からない。優勝したのはギリシャの歌手。圧倒的な歌唱力と明るいパフォーマンスが印象的でした。伝わるもの、ありましたよ。ギリシャ語・・・

そういえば、日本の誇る偉大なる歌手(!?)の松崎しげる氏も、あの愛の名曲でどこぞの外国の歌謡祭で歌唱賞?グランプリ?取ったんですよね。ずっと昔に。日本語も通じる、ちょっとニュアンス違うけど、届くものがある、と私は思っています。でも、あのくらいの実力とキャラ(?)が必要なのかな。

ユーチューブ巡りをしていたときに偶然見つけた、イタリアンのロックグループ! これは超良かったです(この話どこかでしたかも)。曲もノリもスタイルもリズムもジャンルもファッションもロック。歌詞だけがイタリア語。何言ってるのかわからない。けど良い、みたいな。衝撃的な感動でした。リンク、取り忘れた・・・

なんか、この話題で一人盛り上がってしまった・・・良いのだ。ふっ。
田島は今頃トニーに、いっぱい搾り取られている。ははは。

> 息子のバンドも夏のレコーディングに向けてせっせと歌詞作り中。ボーカルの子は英語にこだわるけど、「一度日本語で歌ってみたらいいのに」と言ってやると、「俺もそう言ったんだけどね」と、残念そう。
> ファンが増えてきたんだと、嬉しそうにLINEを眺めてました。・・・しかし、学校は、大丈夫なのか・・・?

おお。ドラマーの息子さんですね。歌詞書いているんですか。英語ですかぁ。夏にレコーディングですか。ファンがLINEに、ですかぁ。カッコイイィ~~
CD買いますよ。オンラインでのせてもらえるようにお伝えください。
学校ですか。ま、そっちは、ね。(←って、イミフでまとめる)
2013.07.03 Wed 10:07
Edit | Reply |  

Name - 城村優歌  

Title - こんにちは♪

ベースの彼は、受け口を開けっぱなしで大丈夫なのか!www
と、本文と関係ないところで、始めてしまいました。
もひとつ書かせて!
ドラムスのおっちゃん、ハゲ散らかしてるwwwけど、
ボーカル、ステキですね(///∇//)

んむ。祥吾、朝までがんばれ!

なんでもこなせるってことは、どこに行っても通用するってことで、
成長物語とは別に、ここのところ毎話毎話、
改めて祥吾の才能を再確認しながら、
アメリカぐるりと回ってきたような気がしています。
本人(祥吾)は気がついているのかしら?
まぁ、気がつかないほうが、いいような気もしますが。
あくまでマイペース・マイワールドな祥吾が好き(///∇//)

そんなことより、日本は夏なの! 暑いの!
(だから何?っていう話ですが…)
2013.07.03 Wed 22:51
Edit | Reply |  

Name - LandM  

Title - No title

そういうところに行くと夢のように時間が過ぎていきますよね。
有名人とかと会うことに関しては。
私も何人か会ったことがありますが。
行動とともに夢を与えてくれる人なのだな、と感じます。


あ、紫陽花の恋の連載終わりました。
今まで読んで頂きありがとうございます!!
また次の作品もよろしくお願いします!!!
2013.07.04 Thu 06:31
Edit | Reply |  

Name - おなかぴーたろー  

Title - No title

こんにちは~(^^)

この度は当ブログご紹介下さり
ありがとうございます!

また、ご訪問いただくたびに
コメントもいただき重ねて御礼申し上げます!

7TH Heaven
「けいさん」から教えられたあと
オフィシャルサイト見たら
実は新しくアルバムを出してました
(・・お気に入りバンドなら、そん位知っとけ!ってi-229
細かいことは気にしな~いi-88

これからも「けいさんのブログ」訪問させていただきますね!
ならっ、コメント残せってi-229
えっと・・田島クンの声のイメージは・・
2013.07.04 Thu 12:47
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - Re: こんにちは♪

城村優歌さん、コメントありがとうございます。

ぷぷぷ。ベースの方、このスタジオ録音では、受け口を開けっぱなしで大丈夫なのか状態ですが、ライブではお元気ですよ。ググッて見てください。ボーカルのキースは超良い。声が良い。うまい(///∇//)

> なんでもこなせるってことは、どこに行っても通用するってことで、
> 成長物語とは別に、ここのところ毎話毎話、
> 改めて祥吾の才能を再確認しながら、
> アメリカぐるりと回ってきたような気がしています。
> 本人(祥吾)は気がついているのかしら?
> まぁ、気がつかないほうが、いいような気もしますが。
> あくまでマイペース・マイワールドな祥吾が好き(///∇//)

なんか、とっても嬉しいです^^
本人はね。どうなんでしょね。
マイペース・マイワールドなところは作者似(^^;)

良いなあー日本の夏。お話は12月でクリスマス。
オーストラリアは7月で冬。さぶい・・・
2013.07.04 Thu 13:16
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - LandMさん

コメントありがとうございます。

私はあまり有名人とは会ったことないんです。
でも、会ったらやはり夢見てしまうかな。どうだろ。
お茶してみたいですね。普通に。

おおお。紫陽花の恋の連載終了ですかっ。
読了に参ります^^
2013.07.04 Thu 13:22
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - おなかぴーたろーさん

こんにちは返し~(^^)

今回は欄外紹介で申し訳ないです(^^;)
いつかメインでババンと!

お。バンドは新しくアルバムを出していたのか。
ちゃんと頑張っているのですね。何か嬉しいですね。
良いのです。私も細かいことは気にしな~いi-88

こちらのブログは飲み物持参でも全然大丈夫ですから。
で、田島の声のイメージは?
今思うと、キースの声も超良い!!
2013.07.04 Thu 13:31
Edit | Reply |  

Name - rurubu1001  

Title - No title

「パーティーはこれからなんだよね」
田島くん、朝までコースに笑ってしまった!
いいなあ~、ライブ!やっぱ素敵^^

UPされている動画も拝見させてもらいました!
これも素敵っていうかカッコいいです!!
2013.09.10 Tue 00:23
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - rurubu1001さん

コメントありがとうございます。

お子様方にはお帰りいただき、大人の時間はこれからです^^
いや、怪しいことはしません。
朝まで歌わされるだけです(^^;)
トニーのほうが、夜の帝王?

7th Heaven は、キースの歌のうまさに惚れる。
田島にもこのくらいに上手く歌って欲しいなあと希望。
2013.09.10 Tue 16:08
Edit | Reply |  

Name - あかね  

Title - レットイットビーだぁ

ただいま、この7th heavenを聴かせてもらいつつ書いています。
そういえば昨日は、ジョンの命日だったのですね。
ポールは来日しましたし、そんなときにこの歌、タイムリーかもしれません。
この方、キース? いい声ですね。
オリジナル曲だとどんな感じですか?

あと2話で第三部が、田島くんの旅が終わって日本に帰るんですね。
新しい生活も楽しみにしています。

あ、7th heaven。名曲メドレーですか?
We will rock youになりました。
この次はなにかな? 楽しい動画ですね。
2013.12.09 Mon 01:07
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - Re: レットイットビーだぁ

あかねさん、コメントありがとうございます。

ジョンの命日だったのですかあ。あれから何年経ったのでしょうかね。
ポールは来日ですかあ。そんなタイミングだなんて。
レットイットビーがうまく歌える人は凄いと思います。

キース、ホント歌うまくて・・・
オリジナルのほうがもちろん良いと思いますが、キースも十分良い!
キースのオリジナルは意外にソフト。

はい。旅の思い出を胸に、日本に帰ります。
あともう少し、田島の旅の最後を見ていただけると嬉しいです。
オチとかは全く無いのですけれど(汗)
2013.12.09 Mon 21:47
Edit | Reply |  

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