オリジナル小説を綴っています。 拙いものですが、少しでもお話を楽しめる憩いの場になればと。

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秘密の花園 1 日曜日・飲み会 


『秘密の花園』


 どこにでもいる普通の大学生、花園徹(はなぞのとおる)は、バイトを2つ掛け持ちし、友達にも恵まれ、充実した毎日を送っている。

 自分では普通に良い人であると思っている割には、なぜか周りからワケアリに見られてしまう。日々平静に、真面目に過ごしていたはずなのに、とんでもない怒涛に巻き込まれ、花園の日常生活は一変する。

 友情あり、恋愛あり、ちょっと痛いのと、笑いもあり。そんな彼の普通なようで、実は普通でないかもしれない大学生活の物語。


*** ***


 大学に入ってからだ。そんな風に呼ばれるようになったのは。

 高校時代には、そんなことはなかったのに。俺が何をしたって言うんだよ。どこにでもいる普通の大学生を捕まえて、何だ。

 ―――マジでやめて欲しいそれ。

 野郎ばかりのゼミの二次会で、俺は少し、いや、かなりムっとしていた。どうして飲み会を日曜日にするのか、そこからおかしい。

 大体、日曜日だというのに、この居酒屋の混みようは異常。明日それぞれに仕事や学校があるはずなのに、飲んで騒ぐのに適する曜日ではないだろう。

 ―――年末でもあるまいし。

「帰る。じゃあな」
「花園ぉ、怒るなよー。みんなお前の事が好きなんだよー。カラオケ行くぞ、カラオケェ~」

 俺は怒ってはいない。ただ、こいつらがさっきから俺のことを何とか呼ばわりして、連呼するのが気に入らないから「帰る」って言ってるだけだ。

 俺が席を立って行こうとすると、このわけの分からないことを言って一人でハッピーアワー化している酔っ払いに腕を掴まれた。

「待てよ、花園徹(はなぞのとおる)! 神奈川国立大学経営学部2年。横浜市在住、21歳! 大学2年なのに21歳なのは、去年1年間大学を休学してオーストラリアにワーホリ、つまりワーキングホリデーってのに行っていたからだっ! なっ! って、おい! 帰るなよー」

 ―――知るかっ。

 そいつの腕を振り払って、俺は容赦なく怒鳴りつけてやった。

「声がでかいんだよ、田島! 人のプライベートを、そんなでかい声で叫ぶな」
「何だよー、秘密にすんな。だからお前は『秘密の花園』って呼ばれるんだよ」

 ―――その呼び名が、ふざけてるっつーの。

「みんな知ってることなんだから、秘密じゃないだろう。それを何で今、わざわざここで言う必要があるんだよ。しかもそんなでかい声でっ」
「酔っ払って気分が良いからに決まってるだろ」

 人のことを吊るし上げて面白がっていたら、そりゃ気分が良いだろうよ。

「俺は酔っ払ってないし、お前らのせいで気分は最悪なんだよ」

 こんな社会的に何の責任も持たない、ただの大学生の酔っ払いの相手は、俺の貴重な人生の時間の無駄だ。面白くもないし、居残る理由も必要もない。

「キレルなよー、花園ぉ。俺は田島祥吾(たじましょうご)! 同じく神奈川国立大学経営学部2年。21歳、一人暮らし。大学2年なのに21歳なのは、高校時代に青春を謳歌しすぎたつけで浪人したから~。これで良いか!」

 ―――良いとか悪いとか・・・あー、もう、うざい。

「そんなことも今更言わなくたって、みんな知ってるんだよ。とにかく、カラオケでもどこへでもお前らだけで行け。俺は明日、一時限から大学あるんだ。お前らには付き合ってらんねえ」

 俺は、野郎の酔っ払いどもを何の未練も無く置き去りにし、飲み屋を出た。

 ―――今日の飲み会、最悪。

 日曜日、夜遅くの電車はすいていて、簡単に座ることも出来た。この時間帯に良く見かける飲み屋帰りの酔っ払いも少なく、日曜日に飲み会なんて、やっぱりおかしいと改めて思う。

 そうして、いつも飲みに行くのと比べて、随分早い時間に家に戻った。

「ただいま」

 それでも、家族はもう寝ている。

 ―――俺だって、本当はカラオケ行きたかったよ。クソッ・・・

 自分の部屋に行く前に台所に寄り、冷蔵庫から冷えた赤ワインを取り出した。オーストラリアン・ワインは、日本でも手ごろな値段で手に入る。

 ―――飲み足りなかったじゃないか。

 仲間たちに悪気はないのだ。それはわかる。けれども、自分の話題で盛り上がる奴らを見るのは、やはり面白くなかった。

 ―――俺は真面目に勉強に励む、普通の大学生。秘密なんて何も無い。

 酔っ払って俺の名を連呼するゼミの仲間を思い出し、また不愉快な気分になってきた。取り出したワインをボトルごとドクドクと飲んで、さっさと寝た。



< 『秘密の花園』あらすじ・目次   TOP   次話 >



   花園徹さんは、どこにでもいる普通の大学生。なのですが・・・?

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だから徹さんは、普通に良い人なんですって。


『秘密の花園』に、ご意見、ご感想、ご助言等いただけると嬉しいです。

読んでいただき、ありがとうございます。皆様の一日が平和でありますように。

Have a nice day!
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Comment

Name - fate  

Title - はじめまして。

すみません、ちょっと時間がなくて読み逃げです。
また舞い戻って最終話まで読破させていただきたく思います(^^)

大学生の青春。
未だに憧れますね。
小中高校よりも自由で、何でもありで、意識は大人になりつつあって、社会的責任も生まれてくる。何しろ20歳過ぎてしまいますからね。

続きを楽しみにしつつ…。

2011.10.04 Tue 11:22
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - Re: はじめまして。

> fateさん、コメントありがとうございます。

大学時代は本当に何でもありなので、
このお話の中では主人公の徹さんに色々とやってもらいました(笑)

是非またお越しくださいね。
2011.10.05 Wed 09:00
Edit | Reply |  

Name - 有村司  

Title - No title

こんにちは、今回から、こちらを拝読させていただくことにしました。
んー?
記憶違いでなければ怒涛の一週間にも、同じ名前の方が出てきていたような…?

楽しみに読ませていただきますね^^
2012.01.27 Fri 15:11
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - 有村司さん

コメントありがとうございます。

『秘密の花園』にお越しくださり、とっても嬉しいです。

『怒涛の一週間』に出ていたあの方と同一人物です。

時系列を変えて、メインキャラで登場です。

有村さんにかわいがってもらえますように^^
2012.01.27 Fri 17:55
Edit | Reply |  

Name - あかね  

Title - まずはここから

けいさんの小説をきちんと読ませていただくのははじめてなのですけど、ただいまのところ、三篇アップなさっているのですよね。
で、「秘密の花園」は完結しているのですよね?

と思いまして、こちらを読ませていただきました。
とっても面白そうでわくわくします。

「秘密の花園」って児童文学にもありますよね。
だけどなんとなくいかがわしい響きもなくもなくで、電車の中でその本を読んでいましたら、近くにいたおじさんに変な目で見られたような記憶があります。

徹くん、こんなニックネーム、いやだよねぇ? くすくす(笑)
というわけで、続き、楽しみにしています。
2012.05.23 Wed 01:15
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - Re: まずはここから

あかねさん、『秘密の花園』にお越しくださり、ありがとうございます。

はい、完結しています。三篇の中の二作目です。
三篇は間接的に何となく繋がるところがあるのですが、
連作ではなく、別々の独立したお話です。(のつもり)

児童文学のほうは実は知りませんでした(汗)
怪しいタイトルで、怪しいニックネームかな、徹さん、ごめん(^^;)(←いまさら)
あかねさんに少しでも楽しんでいただければと思います。ドキドキ・・・
2012.05.23 Wed 16:00
Edit | Reply |  

Name - 楓良新  

Title - 新たなる開幕戦

今回のタイトルは新しい話の第一歩として、サッカー等のスポーツに例えて、このようなタイトルとなりました。

秘密の花園って何かの話であったような気がします。確かアニメにもなったような気がしますね。昔見た事あるような。

人は誰しも秘密を持っているが、ちょっとしたきっかけ、そして花園だから、そのニックネームって花園だからついたんでしょうね。

大学って自由な感じがしますね。花園は楽しんでる感じですね。そういうので呼ばれるのはかなわんでしょうが・・。

ワーキングホリデイに行ってたんですね?非常にいい経験になると思います。私も海外って憧れてたんで、自分の作品にも外国人が一人います。でも日本人とそんなに変わらんですけどね(笑)。

それとけいさんのブログのリンクをこっちのブログに貼ってもよろいいでしょうか?良ければこっちは貼っておきます。
2013.10.08 Tue 22:26
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - Re: 新たなる開幕戦

楓良新さん、粋なタイトルをありがとうございます。

「秘密の花園」でググると、たっくさん出てきます。(ググるまで知らなかった)
私のこれ↑は出てこないのに(><)

徹さんは素直で正直な青年なんです。
それで、まわりから作られたイメージが好きじゃないのです。

さて、お話は秘密があるとか無いとかというよりも、
徹さんの大学生活がどうなっていくか、を追っていきます。
楓さんにも楽しんでいただけますように(^^;)

私自身は、ワーキングホリデイの経験者ではないのですが、行きたかったですね。
楓さんの作品のなかのあの方、存じておりますよ。
名まえが違うだけで、雰囲気が出ますね。

ブログリンクの方、ありがとうございます。
よろしくお願いします^^
2013.10.09 Wed 11:53
Edit | Reply |  

Name - LandM  

Title - No title

秘密の花園!!
・・・に今度はやってまいりました。

バイト二つ!!
・・・それだけと学生生活でも参ってしまいそうだじぇ。。。
頑張ってますねえ。。。

それも大学生活の華!!
ですものね。
2015.09.12 Sat 12:39
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - LandMさん

わ^^ 今度は、秘密の花園!! にありがとうございます!
私も久々に読み返してみました(したら汗出たよぉ -_-;)

バイト二つには大したものではありませんが一応理由があって。
いまのところ、普通に頑張っておりまする。
あくまで普通のはず(?)
2015.09.12 Sat 15:06
Edit | Reply |  

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