オリジナル小説を綴っています。 拙いものですが、少しでもお話を楽しめる憩いの場になればと。

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夢叶 146 

『“Departure”(STさんの旅の始まり)』とページの一番上にあるのがまず田島の目に入った。

「このときはまだ俺、『ST』だったんだよね」

田島は懐かしげに目を細めた。1年半以上前のことだ。

「このとき私、シンガポールから日本に戻ったばかりで学校にもなかなか慣れなくて、ちょっと落ち込んでいたんです」

奏がタイトルの下に書かれた数行を指差した。歌の出だしでもサビの部分でもないにもかかわらず、それは最初に書かれていた。


I’ll take this chance and I’ll make it mine
So stand up stand up
Just tell me how I can never give up

このチャンスをつかんで自分のものにする
だから立ち上がって、立ち上がるんだ
諦めることはないって言って


(<参照> ONE OK ROCK「The Beginning」)


田島はハミスキャでアップしていたユーチューブの中で、この部分をなんとなくつぶやきのように入れていた。

「STさんの曲とこのフレーズを見つけて、すごく元気付けられたんです。日本に帰って来たの、中三でちょっと遅かったかもって思っていたんですけど、これはきっと、与えられたチャンスなんだって」

田島にとってもこの曲は、シドニーからスタートした旅の始まりと、曲作りの再開という時期にできたもの。

そんな思い入れのある曲に歌詞をつけてもらえたことが嬉しくて、歌ってユーチューブにアップしたのが田島と奏の交流の始まりだった。

「詞を書くことで、作文力が伸びました。祥吾さんの曲のお陰です」
「それって俺、何もしていないでしょう」
「いえいえ、曲が素敵だったから、歌詞を書こうと思ったわけですから」

「ね」と奏は首を傾げ、少しだけ念を押す。奏の日記にはたくさんの付箋が貼られていて、それらのページが田島の曲の歌詞となっているのだと見せてくれた。

何度も書き直しがされているページがあり、さらりと一度書いただけで決まったというページもあり、奏から一つ一つのメイキング・ストーリーを聞くのが意外でもあり、新鮮でもあった。

「STさんに詞をメールする前に、安美に日本語が正しいかどうか、見てもらっていたんですよ」
「へえ、安美ちゃんが奏ちゃんの国語の先生でもあったんだね」
「安美は大切な親友です」

そう言う奏の言葉の向こうに、田島も自分の親友である花園のことを思い浮かべ、目を細めた。

「祥吾さん、アメリカの話をしてください。私、アメリカには行ったことないんです」
「え、それでよくあの歌詞が書けたね」
「だって、祥吾さんは、どこにいても祥吾さんだと思いましたから」

だから、その自分の気持ちが曲を聴いただけでどうして奏に伝わったのだろう。そこが謎なのだ。奏はただニコッと笑う。

「空の色とか人の思いとかは、世界のどこに行ったって同じだと思って書きました」

この素直さは最強かもしれない、そう思うと田島はなんと返したら良いのか分からない。田島の持つちっぽけな謎など、吹き飛ばされ、どうでも良くなった。

「あとは、祥吾さんの作る曲がすごく素敵で、好きになったから」

そう付け足して、奏は少しだけ頬を赤らめ、はにかむ。そんな奏に、田島はどこかをバコンとやられそうになった。



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田島、大丈夫か(-_-;)

ワンオク、好きなんです^^

ONE OK ROCK「The Beginning」




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Comment

Name - ヒロハル  

Title - No title

田島ベタボメだな。ここまで言われるとむず痒くなりそ。

まさか、湊ちゃん……、まさかですか?
2014.01.06 Mon 22:06
Edit | Reply |  

Name - lime  

Title - No title

私が田島くんだったら、絶対愛の告白だと思っちゃうなあ^^

奏ちゃんは、人間として田島くんを好きなのかもしれないけど。
海外育ちだから、ストレートなのでしょうね。
田島くん、タジタジ^^

ワンオク、息子も大好きで、きっと息子たちのバンドが目指してるのはここなんだと思います。だから歌詞は全部英語。
でも、たまには日本語の歌詞で曲を作ってみたら?日本語って、いいよ? と言うと、自分もそう言ってるんだけど、メンバーと意見が分かれる・・・んですって。
奏ちゃんみたいな子が、現れたらいいのにな^^
2014.01.07 Tue 07:51
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - ヒロハルさん

コメントありがとうございます。

はは。超むずいっすよね。

まさか……、まさかとは……、つづく。(ネタばれ無し ^^;)
2014.01.07 Tue 09:44
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - limeさん

コメントありがとうございます。

なな。愛の告白、ですか。(作者がドキドキしてどうするん?)
奏ちゃんは、ティーンなので、余計にストレートなのかも。

息子さんたち、ワンオクを目指すなんてすごいですね。歌詞は全部英語かあ。
日本語も少しは入っているほうが海外にもアピールできるのではないかと思ったり。
どうなんですかね。

ちなみに、田島たちは全曲バイリンガルで作っています。
でもこれは本当にお話の設定の中だけのことです。
現実的には、言葉のニュアンスや語呂が合わなくて、できないことですね。
できたとしても、すごく大変なはず。
どうなんですかね^^
2014.01.07 Tue 10:13
Edit | Reply |  

Name - 大海彩洋  

Title - お、やっぱり

ばこん、とどこをやられたんでしょう?????(*^_^*)
素直でいい子ではありませんか!
うん、ストレートに言えたのは、きっと「曲」にかこつけることができたからで……でも、やっぱりこれは告白ですよね。
うふふ、狼狽えちゃってる田島くん。
わくわくしてきたなぁ。
でも何だか、2人ともとぼけそうな気もしてきた^^;
2014.01.07 Tue 23:29
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - Re: お、やっぱり

大海彩洋さん、コメントありがとうございます。

ばこん、と身も心も・・・って何の話(^^;)
ストレートに言えるのはティーンだからか、海外育ちだからか、
「曲」からすかしたものなのか・・・(^^;)

奏ちゃんくらいに良い子だったら、大海さんも許してくれる? 
って一体何の話でしょ^^
私、この手の分野は苦手なんですって。

とにかく、これからも作詞・作曲の作業はこの二人でやっていくので、
とぼけるのかどうなのか、見てあげてくださいね~^^
2014.01.08 Wed 12:15
Edit | Reply |  

Name - -  

Title - 承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです
2016.12.11 Sun 20:57
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - LandMさん

コメントありがとうございます。

そうなんですよ。アーティストの好き、ですよね。ここもね(^^;)
あー、私も全部とはいかないまでも、集めたり行ったりしましたね。今は懐かしい外タレ(-_-;)
LandMさんが好きだったアーティストさんは誰だったのかなあ~

うお広告…(><) お知らせありがとうございます。
今もうずっと涙目で描いている物語があって…
それが終わるまで、なーんにもできません(><)
2016.12.11 Sun 21:54
Edit | Reply |  

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