オリジナル小説を綴っています。 拙いものですが、少しでもお話を楽しめる憩いの場になればと。

秘密の花園 2 月曜日・再会(1) 

 月曜日。昼、学食で、あいつが俺の名を呼ぶ。

「花園ぉ、一限のノート、貸してくれえ」

 田島祥吾だ。臭っせえ、酒抜けてないぞ。昨日どんだけ飲んだんだ? きっとカラオケでも歌うより飲んでいたのだろう。ノート貸せだと? 昼から出てきたくせに迷惑な奴だ。

「今日はITで、自分のプロジェクトやったからノートなんかない」
「えー、うっそ~。あっても見せないとかいうんじゃね? 秘密にしないで教えろよ」

 嘘はついていないし、秘密も無いんだよ。

「お前もやっとかないと、締め切り来週だぞ。あの教授は締め切りには厳しいからな。じゃーな」

 普段は良い奴なんだが、二日酔いの今日は、こいつに関わっていてもきっと良いことはないだろう。学食に田島を放って置いて、俺は午後からの講義のある教室に向かった。

 大学のランゲージセンター。語学関係の講義のほとんどがここである。俺は経営学部生であるが、どんな会社に就職するにしても語学は将来絶対必要だと思って、英語学科のコミュニケーションの科目を選択していた。

 近代的なデザインの小奇麗な建物に入り、電気ホワイトボードの設置されている講義室に入る。担当の講師は、イギリス人のジョン・ウイリアム先生。講義はもちろん英語。しかも2時限続きの講義なので、2時間たっぷりと英語漬けになる。

 クラスは少人数で、少しでも日本語を使うとジョン先生からペナルティーを課される。ペナルティーが重なると、一つテーマが与えられ、それについてリサーチし、クラスでプレゼンテーションをしなければならない。

 通常の講義だけでも大変なのに、追加のプレゼンをやらされるのはきついので、このペナルティーはなるべく避けたい。

 俺以外の学生はすべて英語学科で、一人の男子学生を除いて他は女子学生だった。その、俺以外の唯一の男子の彼を講義室に見つけて声をかけた。

「どうも」
「ハロー」

 おっと、そうだった。英語モードにならなければ。ジョン先生がまだ来てなくて良かった。と思いきや、俺のすぐ後ろから、鋭い声が。

「トール、イングリッシュ!」

 ジョン先生は、嬉しそうにペナルティー・ブックに俺のポイントを記録した。

 今日のメイントピックはグローバル・ウオーミング(地球温暖化)。環境問題は難しい。しどろもどろながら何とか会話に参加し、みんなの意見をまとめたポスターを作って終了した。

「エクスキューズミー、ジョン」

 以前から聞きたい質問があったので、講義が終わってからジョン先生の部屋を訪ねた。ドアは開いていて、そっと中に入るとそこには先約がいた。

先生と和やかな会話をする一人の学生が目に入る。それは、さっきまで一緒に講義を受けていた学生ではなかった。

 ―――あっ!

 彼女には見覚えがある。髪が少し伸びたみたいだけど、きっとそうだ。

「えっ!?・・・徹さん?」

 彼女も俺のことを、覚えているらしい。



< 前話  TOP  次話 >



   真面目な徹さんは、毎日ちゃんと講義に出席しています。

にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ
にほんブログ村   ワンクリックの応援ありがとうございます。 Thanks in advance!

人気ブログランキングへ  Thanks again for the click!


『秘密の花園』に、ご意見、ご感想、ご助言等いただけると嬉しいです。

読んでいただき、ありがとうございます。皆様の一日が平和でありますように。

Have a nice day!
関連記事
スポンサーサイト

Comment

Name - LandM  

Title - No title

プレゼンも~~大学の華ですよね~~。
こうこうしているウチに社会人になっていくのだな~~。。。
ということを感じるものですね。
今だからこそ分かることも沢山あります。
良い思い出です、、、
('◇')ゞ
2015.09.12 Sat 12:44
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - LandMさん

コメントありがとうございます。

大学時代のプレゼンは、社会に出る前の練習、ですかね?
LandMさんは、どんな思い出をお持ちなのかなあ^^
徹さん、まだ平和な大学生活?
2015.09.12 Sat 15:11
Edit | Reply |  

Add your comment