オリジナル小説を綴っています。 拙いものですが、少しでもお話を楽しめる憩いの場になればと。

秘密の花園 3 月曜日・再会(2) 

 やっぱりそうだ。つい去年オーストラリアにワーホリに行っていたときに、シドニーで会った三条奈美(さんじょうなみ)さんだ。でも何でここに?

「ナミ、ドゥー・ユー・ノゥ・トール?」

 それから三人でオーストラリアの話となり、思わず盛り上がってしまった。ジョン先生は日本に来る前、オーストラリアの大学で働いていたことがあるのだ。

 お陰で聞きたかった質問をすることもすっかり忘れ、奈美さんと一緒にジョン先生の部屋から出てきた。

「奈美さん、何でここに? 日本にはいつ?」

 奈美さんは、まだオーストラリアにいるはずだった。去年の俺と同じ、一年間のワーキングホリデーのはずだが。

「姉の結婚が急に決まって、結婚式に出るのに一時帰国したの。昨日成田に着いたばかり。でも式が終わったら、すぐにまたオーストラリアに戻る予定」

 ジョン先生は奈美さんの大学でも教えていて、奈美さんはオーストラリアに行く前に、色々とアドバイスをもらっていたらしい。

「ジョン先生がうちの大学に来る日に、どうしても挨拶に行けない用事があったから、今日ここに来たの」
「そうなんだ」
「徹さんがこの大学だって、すっかり忘れてた。でも、英語学部、じゃなかったよね?」
「経営だよ。でも、英語力をつけたくてジョン先生の講義を受けてるんだ」
「そうなんだ、さすがだね」
「そんな事ないよ。英語が少しでも出来たら就職にも有利かな、と思ってさ」

 奈美さんとは、去年オーストラリアから帰る直前にシドニーで会った。彼女は日本からシドニーに着いたばかりで、そのとき色々あって困っていたところを俺が手助けしたのだ。

「オーストラリアでは、今どこにいるの?」
「今はメルボルン。すごく気に入ってるから、もうずっといるかも。もしかしたら、ジェム・ジュエリー・デザインの見習いをさせてもらえるかもしれないの」
「へえ、おもしろそうだね」

 オーストラリアでの思い出が、一気に甦る。俺は出来るならばもう一度、オーストラリアに行きたいと思っていた。

「おーい、花園! かわいい女の子連れて、秘密の彼女か? 紹介しろよ」

 ―――げっ、田島だ。

「三条奈美さんだ。都立女子大の、えっと・・・」
「国際関係学部です。どうも」
「へえ、都立女子大なんだ。俺は田島祥吾。こいつと同じ経営。おい、花園、お前いつの間に都立女子大とつながり持ったんだ? バイトか? それとも俺に秘密の合コンにでも行ったのか?」

 今日は田島とは、もう関わらないつもりでいたのに。

「そんなこと、どうでも良いだろ。お前、酒抜けたのかよ」
「とっくに。今日も行くか?」
「やめとく」
「あ、三条さんとデートか、ごめん」

 ―――ったく。いちいち相手にしてらんねえ。

 田島から視線をそらし、立ち去るのみ。

「また秘密か『秘密の花園』!」
「バイトだ」
「ホントか? 秘密っぽーい」
「じゃあな」

 ついて来ようとする田島に背を向け、とにかく無視する。背中に「ついて来るな」の文字がにじみ出たのが見えたのか、それでなんとか奴を振り切りった。

「奈美さんごめん。あいつ普段は良い奴なんだけど」
「全然平気。徹さん、『秘密の花園』なんて呼ばれてるんだ。かわいいあだ名ね」
「やめて欲しい。俺は好きじゃない」

 奈美さんにも笑われてしまった。

「俺、このままバイトだから、渋谷まで一緒に行こうか」

 奈美さんは確か、都内に住んでいたはずだ。横浜から渋谷まで東横線で行く間、奈美さんとはオーストラリア話が尽きなかった。

 渋谷に着いてからバイト先の居酒屋の名前を言うと、奈美さんは嬉しそうに目を細めた。

「その居酒屋、知ってる。あさって友だちと行くんだけど。徹さん、バイトしてるんだ」
「へえ、奈美さん、あさって来るの」
「何かサービスしてね」
「うーん、店長が良いって言ったらね」

 最後にメアドを交換して、奈美さんは地下鉄に、俺はバイト先の居酒屋へと別れた。今日のバイトが始まってもいないのに、早くもあさってのバイトが待ち遠しいなんて気持ちになり、気が付くとなぜか小走りで居酒屋に向かっていた。



< 前話  TOP  次話 >



   徹さん、ちょっと嬉しい再会^^

にほんブログ村 小説ブログ 現代小説へ
にほんブログ村   ワンクリックの応援ありがとうございます。 Thanks in advance!

人気ブログランキングへ  Thanks again for the click!


『秘密の花園』に、ご意見、ご感想、ご助言等いただけると嬉しいです。

読んでいただき、ありがとうございます。皆様の一日が平和でありますように。

Have a nice day!

関連記事
スポンサーサイト

Comment

Name - fate  

Title - Australia!!!!

もしかして、ちょっと実話だったりするのかな???
いやぁ、実はfateもオーストラリアにワーホリ!行ったんです。9か月で帰ってきましたが。
fateはPerthに滞在しました。
9月の春がサイコーでしたね。

すみません、ちょっと食いついてしまって、滞りました(^^;
またお邪魔いたします(^^)

あ!!!fate作品にコメントありがとうございます!
大変、嬉しかったです(^^)


2011.10.05 Wed 11:08
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - Re: Australia!!!!

> fateさん、食いついてもらってありがとうございます(笑)

パースにワーホリ、良いですね。
私はワーホリに行った人たちの話をうらやましく聞いていた側です。
お話自体は妄想です。憧れが強すぎて・・・(笑)
fateさんのワーホリ話もお聞きしたいですね。

作品、面白かったです。次回作が楽しみです。

こちらにもまた遊びにいらしてくださいね。

2011.10.05 Wed 12:12
Edit | Reply |  

Name - 楓良新  

Title - ヒロインの登場ですね。

自分はこの三条奈美さんの登場を待ちわびてました。この花園とどういう関係だったのか?怒涛の一週間の花園にどういう影響を与えたのかが、登場人物欄を観た時に、気になってましたからね。

この話も一週間区切りですね。まるで「24」みたいですね。あれは一日を描くもんですけど(笑)。

現在「ホステージ」と言うドラマが日米同時放送で話題になってます。あれは一日を描くサスペンスものです。私は観てませんけど(笑)。

AXNチャンネルで相当宣伝してましたので。

サスペンスでなく、日常をこのように描くのもいいなあって思いました。自分の作品は何曜日の出来事なのか?時々わからなくなってしまいますからね。

2013.10.19 Sat 14:05
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - Re: ヒロインの登場ですね。

楓良新さん、コメントありがとうございます。

登場人物欄をご覧くださっていたとは、超嬉しいです^^
あらすじとか、登場人物紹介って、物語を描く上で基本のき、なのでしょうけれど、それが意外と大変で。
あんな感じでも結構時間がかかっていて(^^;)

そしてそして、奈美さんを待ってくださっていたとは。
ヒロイン・・・なんか良い響きだぁ。
奈美さんと徹さんは良い関係ですよ。安心して見ていてあげてください。
と同時に、そうか、もう少し突っ込んでも良かったかも、なんて今になって思ったり(^^;)

> この話も一週間区切りですね。まるで「24」みたいですね。あれは一日を描くもんですけど(笑)。

そうなんです。一週間についてのことをあとがきで言い訳(笑)していますので、是非そこまで。
「24」はお手本にできるくらいのお見事なドラマですね。

はい。私はサスペンスなんてとてもとても書けないのです。
身の回りにおきる普通のような、普通じゃないような、じゃあ普通って何、
みたいな、そんなお話が描けたらなあと思っています。

なので、ドラマチックな驚愕の展開とかはないのですけれど、
楓良新さんに少しでもお楽しみいただけると嬉しく思います^^
2013.10.19 Sat 17:42
Edit | Reply |  

Name - LandM  

Title - No title

う~~む、流石。
国際的な話だじぇ。。。
けいさんだからこその話ですね。
結婚式のために帰国。そしてトンボ帰り。
休みは引きこもりのLandMの才条 蓮とは大違いだじぇ。。。
2015.09.19 Sat 11:48
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - LandMさん

コメントありがとうございます。

いあ、そんなそんな。今の若い子たちは普通に国際的してますよ。ね。
飛行機代、どうやってんのだろうと思うくらい、簡単に行き来してますよ。
時代は変わるです。
私も休みはアクティブな引きこもり(^^)
2015.09.20 Sun 19:57
Edit | Reply |  

Add your comment