オリジナル小説を綴っています。 拙いものですが、少しでもお話を楽しめる憩いの場になればと。

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秘密の花園 8 水曜日・居酒屋(1) 

 水曜日。今日のゼミには田島をはじめ、昨日カフェに来た奴らが全員出席していた。皆の興味は昨日の撮影の事だと分かっている。

「花園・・・」
「ストップ。昨日のことはもう終わった。話すことは何も無い」
「何でだよ。すごい良かったぞ」
「話すことは無いって言ってる。終わりだ。後のことはマスターに聞いてくれ」
「お前から聞きたいのにー」

 後は無視だ。昨日、撮影の即興エキストラとして一部始終を見ていたんだから分かるだろう。もちろん、妹には一切この話はしていない。録画でもされたら、たまったもんじゃないからな。

 俺は昨日のことでは、精神的にも肉体的にもすごく疲れているんだ。今日大学に出てきただけでも奇跡だろうが。

 俺の態度と疲労した様子に、田島も他のゼミの奴らもそれ以上は何も訊いてこなかった。良し良し。

「じゃあな」

 大学の講義に何とか最後まで出席して、夜はまたバイトだ。火曜と日曜以外は俺は渋谷の居酒屋でバイトをしている。

 去年、ワーホリで一年間オーストラリアに滞在し、お金がなくなってしまったからまたバイトで稼がなくてはならない。

 昨日の出来事でかなり疲れていたが、休むわけには行かない。横浜から渋谷までは、東横線で簡単に往復できる。

 お金を貯めて、もう一度オーストラリアに、今度は留学でMBA(経営管理学修士課程)を修得しに行きたいと思っていた。

 留学したいという夢もあったが、それと共に、オーストラリアの事が好きだからまた行きたい、という気持ちも大きかった。

 ―――そういえば・・・

 今日、奈美さんがうちの居酒屋に友だちと来る、と言っていたのを思い出した。何時に来るのだろうか。

 ―――期待するな。奈美さんは、友だちと飲みに来るんだ。

 俺に会いに来るわけじゃない。そう、言い聞かせた。一時帰国で友だちと会うのだろう。

 ―――さ、仕事仕事。

 大手居酒屋チェーンの一つであるこの店は、渋谷駅近くにあるビルのひとフロアを占め、結構人気がある。

 店の仲間はバイトも社員も皆仲が良く、閉店後に毎晩、仕事終いのしめの一杯をご馳走になってから帰る。

 俺はこの「お疲れさんの一杯」が気に入っていて、それで閉店までいるようなものだ。この一杯をもらった後、東横線の終電に乗るために店から渋谷駅まで走る。

 家に帰るのが遅いから、次の日大学で午前から講義があるときはつらいが、大分慣れた。

 留学のためには、日本での大学の成績もある程度のものを残しておかなくてはならないから、田島のように簡単に大学をサボるわけにはいかない。

「花園君、座敷の片付けとセットアップ宜しく!」
「あ、はい」

 今日一つ目の団体が、時間で引き上げた。すぐに、店の入り口で待っている次の団体を座敷に入れる。

「いらっしゃいませぇーっ」

 大学生の団体だ。結構人数がいる。座敷に案内していると、誰かに後ろから軽く肩をたたかれた。

「徹さん、元気?」
「奈美さん。この団体なんだ。合コン?」

 笑顔の奈美さんだ。再会できたことが無性に嬉しい。けれども、バイト中の俺はそんなニヤけた気持ちを胸の内に抑えて、仕事モードを表に出す。

「あたし知らなかった、飲み会が合コンだったなんて」

 俺のほのかな想いを知ってか、いや、知らないだろうなあ。奈美さんは一緒にいた友達と座敷へ上がっていった。



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   居酒屋が徹さんのメインのバイト^^

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読んでいただき、ありがとうございます。皆様の一日が平和でありますように。

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Comment

Name - -  

Title - 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013.12.06 Fri 15:04
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Name - けい  

Title - 鍵コメさん

コメントありがとうございます。

ホント、どこにでもあるんですよね。
芸能人との偶然は嬉しいほうかも。
なかなかそんな機会はないのですけれど。

サッカーはこちらでもゲームが放映されているので見ることができます。
深夜とかなんですよね。なぜか。
遠く離れていても、日本を応援していますが、オーストラリアと対戦するときは超複雑な心境になります。
2013.12.06 Fri 21:26
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2013.12.07 Sat 16:25
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Name - けい  

Title - 鍵コメさん

再び。ありがとうございます。

ほう。日本はそうなんですか。頑張って欲しいですね。
応援していますよ、もちろん。

オーストラリアン・チームは‘サッカールーズ’と呼ばれています。
こちらも応援です。
オーストラリアはオリンピックもやっているので、W杯も十分に招致できると思います。
そのときは是非オーストラリアにお越しくださいね^^
ま、それでなくても^^
2013.12.07 Sat 19:06
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Name - LandM  

Title - No title

堅実に働くのがいいのか。
あるいは、戦略を組み立てて商売するのが良いのか。
そういう様々なことを考慮に入れて、経営をするっていうことを教えてくれる小説です。
・・・・ん?私の読み方間違ってますかね?
\(゜ロ\)(/ロ゜)/
2015.10.03 Sat 07:32
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - LandMさん

コメントありがとうございます。

お? このお話、LandMさんにとっての経営話になっているのですか?
徹さんのバイトのお話なのですけれど(ちょい汗)
でもなんか嬉しいです。って、私のコメ返合ってますかね?
\(゜ロ\)(/ロ゜)/
2015.10.03 Sat 14:25
Edit | Reply |  

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