オリジナル小説を綴っています。 拙いものですが、少しでもお話を楽しめる憩いの場になればと。

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秘密の花園 第二章 2 病院(2) 

 どのくらい眠っていたのか。今度は頭と体の痛みで目を覚ました。

「徹・・・」
「母さん?」
「まだ寝てなさい。痛いでしょ」

 顔がジンジンと痛い。頭が包帯でぐるぐる巻きにされているのが、感覚でわかった。首にはカラーが巻かれていて、頭が動かせない。鼻にはチューブだ。酸素吸入をされているらしい。

 包帯の巻かれていない右目だけで周りを見ると、母の心配そうな顔と、その脇に点滴が見えた。点滴のチューブが腕に繋がっているようだが、感覚が無い。

 ベッドの横にあるらしい医療機器から、ピッピッという電子音が聞こえる以外、病室は静かで落ち着いていた。

「俺、どうなってんの?」

 体のあちらこちらの感覚が鈍く、起き上がることはもちろん、手足を動かすことすらできなかった。

「上半身の打撲と、顔面の打撲と、鼻骨の骨折ですって。あー痛っ」
「ごめん、心配かけて。俺、バイトで・・・」
「居酒屋の方から、大体の話は聞いたから分かってる。徹は何も考えないで、休んでなさい」

 バイトからどの程度聞いているのだろう。いや、俺自身もあの後どうなったのか知らない。母は気丈にしていたが、とても疲れているようだった。俺の意識が無い間、ずっと付いていてくれたのだろう。

「それで、どの位入院するの?」

 ベッドに横になったままで聞いた。

「頭を強く殴られているから、まず脳の検査ですって。それで異常がなければ、打撲の治療と鼻の整形だけで済むんだけど、異常が見つかったときは分からないって・・・」

 ―――結構、ボロボロにやられたんだな。

 今はどうやら、夕方らしい。窓から差し込む西日を防ぐために、母は窓のカーテンを閉めた。

 俺の意識が戻ったことを、母がナースコールで知らせたのだろう。医師と看護婦がやってきて簡単な問診を受け、血圧や脈拍などを計った。問診の後、今後の治療についての説明を受ける。

 色々な検査をするらしいことを説明され、母がいくつか質問していた。俺は自分の体がどうなっているのかわからなくて、ただ聞くしかなかった。

 医師と看護婦が出て行った後、しばらく病室の白い天井を見上げてボーっとしていると、そっとドアの開く音がして誰かが入ってきた。

「お兄ちゃん!」

 妹の安美だ、それから・・・

「徹。酷いな」

 父だ。

「父さん。帰ってきたんだ」
「徹、気がついていたのか。まだ痛いか。大変だったな」

 父は大阪に単身赴任していて、普段は月に一度ぐらいしか家には戻らない。

「父さん、仕事は?」
「今日は土曜日だ。夕べお母さんから連絡があって、今朝には戻って安美と家にいた。来週はずっと家にいる。お母さんが大変だからな。あ、お前が一番大変だよな」
「ごめん」
「謝ることはないよ。それにしても、とんだとばっちりだったな」

 だんだん、あの時の事を思い出してきた。喧嘩の客はどうした? 喧嘩を止めてくれたあのクマのようながたいの客は? 俺はあの後どうなったんだ?  何も覚えていない。

「ま、今は怪我を治すことだな」
「うん」

 妹の安美が、心配そうに俺を見ている。安美はまだ小学六年生。俺とは年が離れている。

「お兄ちゃん。大丈夫?」
「安美。来てくれてありがとう。今はまだ痛いけど、病院で治すから平気だよ」

 そう言うのがやっとで、あとは顔が引きつって笑ってやることができなかった。

「父さん、俺、顔と体は痛いけど、気分は悪くないよ。だから大丈夫」
「まあ、昨日の今日だ。今は何も考えないで、寝てなさい」

 夕方遅くに看護婦さんが点滴を取り替えに来た後、父、母、妹の安美は横浜の家に帰っていった。母はもう一晩泊まると言ったが、俺は平気だからと言って帰ってもらった。

 たぶん母は、昨日の深夜から一睡もしていないだろう。俺の方は体が動かずただ寝ているだけで、何も手のかかることは無かったし、気分的にも何の問題もなかった。

 一日中ほとんど寝ていたはずなのに、病室で一人になり目を閉じるとまたすぐに眠ってしまっていた。



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   花園家は四人家族で、徹さんには妹さんがいたのですね。大学は自宅通学です。

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読んでいただき、ありがとうございます。皆様の一日が平和でありますように。

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2015.01.25 Sun 20:50
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Name - けい  

Title - 鍵コメさん

コメントありがとうございます。

来てくれました。入院騒ぎになってしまったので(><)
怪我の方はけっこう大変でしたが、家族にも支えられて大丈夫でしょう。
キャラが多いとお話が華やかになりますよね。

サッカーは残念でしたね。これで終わりだなんて、勝負の世界はきついですね。
準決勝は日本とやって欲しかった。Ausを応援します(^^;)

テニスの方が大々的に放映されています。毎年のことですし。
錦織選手を毎年応援しています^^
サッカーのブルーユニフォームを着てテニスの応援に来ていた人も多かったですよ。

テニスもサッカーも楽しいです。
2015.01.26 Mon 09:31
Edit | Reply |  

Name - LandM  

Title - No title

おおう。想像以上のやられっぷりだじぇ。。。
漫画や小説ならあれから1か月!!
・・・で治る展開ですけど。
それをしないのがリアリティ。
読み応えがありますね。
2015.11.14 Sat 07:59
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - LandMさん

コメントありがとうございます。

やられちゃいました(^^;)
リアリティ、ですか! 
LandMさんにすごく褒められたと勝手に解釈して嬉しがっております^^

この徹さんのお話は、怒涛の一週間を銘打ったはずなのに、一週間に至らずに(第一部が)終わってしまったので、この第二部はその直後からの展開で解決を見ようというもので・・・(解決警部(補)に解決のお助けを願いたい・汗)
大いに反省の残る構成なのですが、またご意見をいただけると嬉しいです。
2015.11.14 Sat 09:09
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