オリジナル小説を綴っています。 拙いものですが、少しでもお話を楽しめる憩いの場になればと。

秘密の花園 第二章 4 見舞い(2) 

「どうした? 田島?」

 田島の急変に、俺は少し驚いた。もしかしたら、高校の友人が亡くなったという、トラウマの部分に触れてしまったのか。

「嘘じゃないよな。花園! 簡単には死なねえ・・・って、本当だよな!」
「え? 本当だよ。ほ・ん・と・う・だっ!」

 怒ったような表情で、何かを確認するように迫ってくる田島に、「本当だ」というところをはっきりと言ってやると、田島は「はっ」と気づいたような顔をして大きく息をした。それで正気に戻ったようだ。

「田島、高校時代の話なんかするの、初めてだよな。今までしなかったってことは、お前の高校時代は、すっげー暗かったのか?」
「いや、その反対だよ。青春そのもので、思い出がいっぱい。だから浪人したんだって。それは話しただろ」
「そうだっけ。ふーん。なんかお前の青春話、秘密めいて面白そうだな」

 ―――やった。珍しく「秘密」のフレーズをこっちが取ったぞ。

「俺の秘密? そんなものはない。ワケアリはお前の特許だろ」
「ちょっと待て。俺だって、秘密もワケアリなんてのも無いんだよ」

 ―――墓穴を掘ったのか、俺。

「だから、もういい加減に、あの変なあだ名を連呼するのはやめろ」
「何だ気に入らないのか。じゃあ今は期間限定の、顔面青痣赤目包帯野郎的なニックネームを考えてやろうか」
「何だそれ?」
「そっちの方が良さそうだ」
「良くねえし」 

 とりあえず、いつもの田島に戻った。

「じゃあ、素直に天然草食系でいくか」
「俺は草食系とかじゃないし、天然でもないしっ!」
「あ、天然は当たってるぞー。てかやっぱ今は、タイムリーに顔面青痣赤目包帯系かなあ」

 ったく、元に戻ったと思ったら、どんな話しになってんだ。

「ま、そんなことより、今はお前の方が心配なんだよ」
「それで本当に心配してるのか。いや、俺は大丈夫だよ。検査も一段落したし。お前も毎日来て、大学やみんなの様子を教えてくれるし」

 田島は、俺がまだ面会謝絶のときも病院に来て、母に大学の様子を伝えたりノートのコピーを渡してくれたりしていた。

「そういえばお前、ノートがあるって事は、朝から大学サボらないで行ってるんだな」
「当然だ。俺は真面目な大学生だからな。サボるだなんて、失礼な」
「ふーん、真面目ねえ」

 それから俺たちは、大学の仲間の話やほかの他愛の無い話などをして、田島は結局夕方の面会時間終了までいた。

「じゃ、また明日来るよ。明日は三条さんを連れてきてやる」
「え? 奈美さんはオーストラリアに戻ったはずじゃ?」
「滞在延長だってさ。お前がこうなったからだ」
「滞在延長?」

 ―――田島が奈美さんに知らせたのか。でも・・・

「何でお前、奈美さんの連絡先知ってんだ? 俺の携帯見たな」
「当然だ。礼はないのか」

 ―――当然かよ。何が礼だ。人の携帯、勝手に見といて。

 まあ良いか。田島のこういうところは本当に気が利く。奴のおせっかいによる好意と取っておこう。

「三条さんもすっごく心配してるぞ。その顔は見ない方が良いかもしれないと思ったけど、ま、良いよな。男は顔じゃないし」
「デスマスクでもないし」
「そんな事言うな。連れてきてやんないぞ」

 携帯を見られたことに、ちょっとすねて口走った言葉で田島がまた固まった。また俺は、田島のトラウマに触れることを言ってしまったのか。俺の知らない田島がちょっと気になる。

「ごめんごめん。奈美さんと会いたいよ。連れてきて」
「ふん、良し良し。それで良い。連れて来てやるが、目の前でイチャイチャするなよ」
「奈美さんは彼女じゃないし。何度言えばわかる?」
「へー。じゃー俺、告ろうかなー。三条さんすっげーかわいいしー、日本にいる間に・・・」
「ダメダメ!! それはなし!」
「ほらねー」
「たじむぁ~」
「じゃ、お大事にー」

 田島が帰った後、俺は今日聞いた、田島の高校時代の話を思い出していた。奴は人のことを秘密秘密とか言う割には、自分の方が実は大きな秘密がありそうだ。

 退院したら、一緒に酒でも飲みながら田島の秘密話を聞いてやろう。楽しみだ・・・



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   次回からは、タイトル『秘密の田島』??

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読んでいただき、ありがとうございます。皆様の一日が平和でありますように。

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Comment

Name - ヒロハル  

Title - No title

そう言えば、例えば、怪我して、誰かが連絡するために携帯を見るってこともあるんですよね。

それはまずいですよね。
私の携帯には○ロイ画像が結構……。
2011.11.09 Wed 15:17
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - ヒロハルさん

コメントありがとうございます。

そうですよ~。
携帯は自分のほぼ全てのようなものですからね。
気をつけないとー。

よく聞く、ボッチャン・さよーならー、と、
ドッキリ画像、にはご注意を~(笑)
2011.11.09 Wed 15:50
Edit | Reply |  

Name - あかね  

Title - 追記があったのですね

意識不明になってしまった花園くん、とっても気になっていましたので、無事でよかったです。

しかし、痛々しい。
想像するとほんとに痛そうですね。
綺麗なお顔にそんな怪我……お母さまもさぞや、しくしく。

という感じです。
田島くんもやっぱり「いい子」ですよね。
「いい子」なんて言ったらご本人に怒られそうですが。
2012.06.17 Sun 10:03
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - Re: 追記があったのですね

あかねさん、コメントありがとうございます。
追記という裏技(?)で、お話をつなげています(^^;)

徹さん、実は意識不明(呼吸有り)の重体で病院に担ぎ込まれました。
喧嘩って、危ないですね。

> 綺麗なお顔にそんな怪我……お母さまもさぞや、しくしく。

この時の徹さんの顔は・・・
ホラー映画で暗闇からドバと出てくる血まみれキャラ、なイメージ(--;)

> 田島くんもやっぱり「いい子」ですよね。
> 「いい子」なんて言ったらご本人に怒られそうですが。

ははは。ありがとうございます。
徹さんはいい「人」で、田島はいい「子」なのかな。
二人は「良い友達」です^^
2012.06.17 Sun 13:13
Edit | Reply |  

Name - -  

Title - 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015.02.06 Fri 21:04
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - 鍵コメさん

コメントありがとうございます。

ぷぷ。徹さんは田島からそう呼ばれるのが特に好きじゃないみたいです。
田島の過去は結構辛くて、本人にとってはかなり重いのです。
次作がそれについてなので、もしよろしければこのお話のあとに(何気に宣伝 ^^;)

監督って、チームにとっては大事ですよね。手腕はもちろん、人となりがチームを引っ張っていく要にもなるので重要だと思います。信頼関係が築けるかどうかですかね。
2015.02.07 Sat 08:32
Edit | Reply |  

Name - LandM  

Title - No title

こうやって見舞いに来るときはいいですけど。
時間って、圧倒的に一人でいる時間が長いんですよねえ。。。
(*´ω`)

それがまた辛い。。。
2015.11.21 Sat 09:13
Edit | Reply |  

Name - けい  

Title - LandMさん

コメントありがとうございます。

お見舞いに来てくださるのは嬉しいですよね。
何もできることがないところで一人はちょっと大変かもですね。

田島はまめに徹さんに会いに行き、友情を深めます(?)
間もなくもう一人、徹さんを見舞う人も登場^^
2015.11.21 Sat 19:22
Edit | Reply |  

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